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不動前で「詩人 石垣りんのいた風景」展 地元写真家と文学研究者が企画

(左から)展示を主催する渡邉茂樹さんと内海宏隆さん。内海さんが手に持つのは書籍「石垣りんの手帳」

(左から)展示を主催する渡邉茂樹さんと内海宏隆さん。内海さんが手に持つのは書籍「石垣りんの手帳」

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 展示「詩人 石垣りんのいた風景」が10月2日、不動前のフラヌール書店(品川区西五反田5)で始まる。主催は、元国語科教諭で文学研究者の内海宏隆さんと、写真家の渡邉茂樹さん。

「フラヌール書店」店内。展示は奥のギャラリースペースで行う

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 詩人の石垣りんさんが暮らした品川区・大田区内の写真を渡邉さんが撮影し、内海さんによる解説文を添えて同書店内のギャラリースペースに展示する。

 石垣さんは1920(大正9)年生まれで、戦後日本詩壇を代表する詩人。「挨拶(あいさつ) 原爆の写真によせて」「表札」などの作品で知られる。戦後に家族で暮らした家は荏原中延に、後年一人暮らししていたマンションは石川台(大田区)にあり、池上線駅周辺の地名が作品に登場する。

 開催の経緯について、内海さんは「渡邉さんとは『パパ友』の仲。10年前に自分が企画運営に携わった展示に渡邉さんが来場し、『いつか2人で何かやれたら』という話になったことがある。品川にゆかりのある作家の足跡を仲間と一緒にたどる催しで石垣さんの回を開催したり、自分と渡邊さんそれぞれがフラヌール書店とつながりがあったりと、さまざまな縁があって実現した」と話す。

 展示する写真は25カットで、品川区が4割、大田区が6割。カメラを持って石垣さんの足跡を想像しながらたどった渡邉さんは「彼女の一人称視点や、風景の中に立っているような写真をイメージして撮影した」と話す。

 10月11日には、同書店内でトークイベントを開く。内海さんと、書籍「石垣りんの手帳 1957から1998年の日記」を手がけた編集者の織田桂さんが登壇する。同書は石垣さんの手帳の現物を写真に収め、37歳から78歳までに書いた日記を抜粋して掲載した一冊。展示の開催経緯や本の編集秘話について話すほか、展示のオフカットも紹介する。19時開始。参加無料。予約をPeatixで受け付けている。

 「展示している写真の光景は、近隣住人にとって当たり前かもしれない。そんな日常から石垣さんの作品が生まれてきたのだと感じた」と渡邊さん。内海さんは「展示に向けて準備を重ねてきて、彼女が通った店の店主に話を聞いたりしたが、石垣さんは知れば知るほど魅力が増す存在。一方、教科書に掲載されるほどの人なのに、あまり名前が知られていないことも実感した。展示をきっかけに、こんな詩人がいたと地元の人々に知ってもらえたら」と話す。

 展示は10月28日まで。入場無料。

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