飲食店経営を手がけるアズザクロウフライ(atcf、武蔵野市)は1月6日、バー「酣(たけなわ)」(品川区上大崎3、TEL 03-3441-6181)で都内7店舗合同のカクテルコンペティションを行った。
同コンペでは、「ミクソロジスト」をテーマに全店舗のバーテンダー10人とアシスタント3人、計13人がオリジナルカクテルを制作し優勝を争った。審査員は、各店舗から厳選された常連25人と小林信秀社長。優勝者には社長賞として海外研修旅行が贈られることもあり、4カ月から8年7カ月までキャリアの差を持つバーテンダーたちが真剣勝負を繰り広げた。
テーマとなった「ミクソロジスト」(Mixologist)とは、mix(混ぜる)を元にした造語で、果実酒を使わず果物などを丁寧につぶし、果汁そのものや野菜、ハーブなど旬の素材を使用するバーテンダーのこと。制作された作品も、「お茶と黒豆の葛湯」「林檎の白和えカクテル」「牛蒡(ゴボウ)と柚子のカクテル」など目新しい味が並んだ。
優勝を勝ち取った「NAVEL」(中野区)石川店長の「Garden/ガーデン」は、ハスの花を漬け込んだスピリッツとローズで庭園をイメージしたカクテル。続いて、「晩餐バール」(武蔵野市)佐藤店長の「春菊とレモングラスのカクテル」、「vinsanto」(渋谷区)藤田店長の「エル・カルヴァドール」が入賞した。
また、オッズ形式で1位と2位を予想するイベントには、10万円分の全店舗共通食事券が用意され、11人がそれぞれ9,090円を獲得。同コンペ後は、各店舗の常連約50人を招いた新年会が行われた。
小林社長は「こうした企画がバーテンダーの意欲を刺激し、お客様との密な関係を築く機会になってほしい。自分たちが目指すのは、人がたくさん入る店より『バーテンダーがやっている○○屋さん』。『酣』では和食、『vinsanto』や『晩餐バール』ではスペイン料理やイタリアンのフードメニューもあるが、『食事も楽しめるバー』であることが基本。現在飲食業界は縮小傾向にあるが、バーテンダー志望者は研究心もあるので、彼らの能力を伸ばす環境を作れれば」と期待を込める。
「酣」の坂本貴洋店長は、「オープンして1年3カ月。深夜に営業している店舗の少ない目黒という立地でかわいがっていただいている。バーは地域の人がいて成り立つもの。和食とバーの融合には違和感があるかもしれないが、日本人が食を楽しむ空間を演出していきたい」と抱負を語った。
「酣」は19坪、25席。客がバーテンダーと顔を合わせながら食事ができるよう、カウンター席のみとなっている。営業時間は18時~翌4時(日曜・祝日は18時~0時)。