東京中小企業家同友会(豊島区)は10月28日、立正大学大崎キャンパス(品川区大崎4)で産学公連携シンポジウム「十年後の東京と経営を考える会」を開催する。
同シンポジウムの目玉は、「東京 ある企業家の最後の選択-あの時、気づいていればよかった」と題された演劇の上演。実際に同会員である中小企業の経営者がキャストを務めるだけでなく、脚本も経営者同士のディスカッションが元となっている。脚本・演出を手がけるのは、同会員でもある劇団銅鑼。立正大教授と品川、大田区職員も同じ肩書きで出演する。
舞台は、今から10年後の2017年。東京は、地価の高騰、地球の温暖化が進み、高齢化社会に端を発する雇用問題、そして介護問題など、多くの問題を抱えている。主人公、今田の家に集まり、久しぶりの再会を果たした立正大野球部OBたち。それぞれ会社社長や農家、外資系企業の社員などになっているが、人材派遣会社の社長である今田は、「あの時、気づいていればよかった」と経営の順調だった2007年を振り返る。窮地に立たされた今田の最後の決断を通し、2007年の現代が持つ問題を浮き彫りにするストーリーだ。
東京中小企業家同友会担当者は「現在中小企業は、高齢化などによる人手不足や若手育成の困難に悩んでいる。目の前の忙しさに振り回され、政治や経済、環境など大きな問題に目を向けられないでいるのが現状。社会情勢に経営形態が翻弄されやすい中小企業が危機にさらされていることに、このシンポジウムを通して気付いてほしい」と話す。
同会では会員に4万人近くの経営者を抱え、アメリカハワイ州にも支部がある。1カ月に100回以上の勉強会を開催するが、1998年、その敷居を低くするため、初めての試みとして演劇「銀行が消える日」での問題提起を行い、会場となった新宿のホールにはマスコミ各社が詰めかけた。
シンポジウムでは演劇の上演後、17の分科会に分かれてディスカッションを行う。当日は、11時30分受け付け開始、12時開演。参加申し込みは事務局(TEL 03-5953-5671)まで。