2024(令和6)年 10月 6日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)は、研究活動の必需品である液体ヘリウムの利用促進と安定供給に向けた「ヘリウム供給拠点構想」について、文部科学省科学技術・学術政策局長らと2024年9月4日、意見交換の場を開催しました。また、2024年9月10~24日には首都圏の私立大学、関西地方の研究機関、国立大学、高専と構想実現に向けて具体的な制度設計について意見交換を実施しました。
液体ヘリウムは国内生産しておらず全て輸入に頼っていますが、コロナ禍や世界的な紛争等のさまざまな要因によって国内供給が不足しており、かつ購入価格が年々高騰し、大学・研究機関では入手困難となっています。これは2019年にわが国の6学会、2研究機関連絡会と39機関が共同で出したヘリウム危機に関する声明「ヘリウムリサイクル社会を目指して」においても言及されています。
岡山大学は、ヘリウム液化装置を所有しており、学内利用者に液体ヘリウムを供給し、発生したヘリウムガスを回収して再液化するシステムを構築しています。液体ヘリウムを使用する核磁気共鳴(NMR)装置などの研究設備を運用する際に排出されるヘリウムガスを、学内配管を通じて自然生命科学研究支援センター極低温室で回収し、再び液体ヘリウムへと液化し貯留・供給を行うことで、学内における液体ヘリウムのリサイクルを実現しています。
ヘリウム液化装置は極めて高額であり、また設備運用にコストと高度な技術人材等が必要であるため、大学・研究機関においてヘリウム液化装置を整備は容易ではありません。地域の中核大学、そして研究大学である岡山大学が、学内のみで閉じた利用ではなく近隣の大学、高専、研究機関、企業等に液体ヘリウムを供給できれば、液体ヘリウムを使った研究・開発の裾野を大いに拡げることにつながり、ひいてはわが国の研究力向上・イノベーション創出等につながります。そこで岡山大学では「ヘリウム供給拠点構想」を掲げ、実現可能性を含めた具体的な検討を関係大学・研究機関・高専と進めています。
9月4日には文部科学省科学技術・学術政策局の井上諭一局長と産学連携・地域振興課の吉村奏係長、同課の斉藤香歩研修生、研究環境課の田邉綾乃専門職、日本学術振興会(JSPS)経営企画部大学経営支援課の菅原孝介課長らが来学し、ヘリウム液化装置を前に現場で意見交換を実施。本学の佐藤法仁副理事・副学長・上級URAや窪木拓男副理事、研究・イノベーション共創機構機器共用推進本部の畑中耕治本部長、松本尊道副本部長、装置の維持管理を担っている総合技術部の浦上久幸技術専門員、研究協力課の河本雅紀課長、異分野基礎科学研究所の笠原成教授らが出席し、1大学で閉じない複数大学連携の液体ヘリウムのリサイクル体制やその実現可能性について意見を交わしました。
松本副本部長は、「ヘリウム液化装置を所有していない近隣の大学・研究機関に調査したところ、液体ヘリウムの入手に大変苦労している実態も知った。液体ヘリウムの低温研究の裾野を拡げるためにも、近隣機関への液体ヘリウムの供給と、そのリサイクルを可能にすることで、これまで限られていた先端研究の裾野を地域全体に大きく広がると考える。ヘリウム液化装置は新しい研究の“トレンドを作る”かつ“トレンドを支える”中規模研究設備である。引き続き、構想の実現に向けて複数大学等と具体的な制度設計を進めていきたい」と話しました。
このほか、岡山大学では2024年6~7月にかけて複数大学・との意見交換を実施してきたところですが、さらに9月10日に首都圏の私立大学、9月18日に関西地方の研究機関、9月24日に関西地方の国立大学、高専と構想実現に向けた具体的な制度設計や、ヘリウムガスの回収方法、輸送方法、安定的な供給に向けた連携体制に関する意見交換を実施しました。
これらの複数の大学・研究機関との意見交換や視察において得られた情報をもとに、本学の運用の強化促進と地域のハブとしての供給を目指します。特に本学は、昨年12月22日に文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(実施主体:日本学術振興会)に採択されており、本事業で推進している取り組みの一つに「イノベーション創出の知と技のメッカとなる」ことを掲げ、研究力強化のハブとなる取り組みを推進しています。近隣大学、高専、研究機関、企業等に液体ヘリウムをより多くの実験に利用促進することで、「知と技のメッカとなる」地域中核・特色ある研究大学:岡山大学を目指します。引き続き、地域と地球の未来を共創し、社会変革を実現させるJ-PEAKS採択大学である岡山大学の挑戦に、どうぞご期待ください。
本情報は、2024年10月4日に岡山大学から公開されました。
〇那須保友学長のコメント
研究活動の必需品である液体ヘリウムの利用促進と安定供給に向けた「ヘリウム供給拠点構想」は、岡山大学だけに限ったものではなく、わが国の大学・研究機関、そして科学技術・イノベーションの基盤を支えるもののひとつと言えます。コスト的に見ても、各大学・研究機関等が設備を整備し、専門人材を何人も張り付けるよりも、各地に既にある大学を拠点にして初期投資を行い、各大学・研究機関等に供給した方が遥かにコストが浮きます。さらに各地域の供給拠点が連携することで対海外企業との価格交渉における力も強くなります。これは電子ジャーナルの価格交渉を1大学から連合体で行うことで効果的な成果を見せている仕組みと同じようなものです。
わが国の研究力低下が数字的にも目に見えてわかっている状態ですが、研究を支える研究基盤整備強化や拠点化、ネットワーク化が不十分な状態を改善しなければ意味がありません。例えるならば、自宅の一部屋をリフォームして最新の電子機器・家具などを配置しても、自宅自体のインフラが古いまま、コンセントを差しても必要な電気が流れない、蛇口を捻っても水がチョロチョロ、それも汚い水しか出ないのでは意味がないのと同じことです。残念ながらわが国の多くの大学の研究現場はこのようなボロボロな状態です。
私たちは地域中核・特色ある研究大学のひとつとして、研究基盤の強化も進めていますが、一大学では限界があるのも事実です。さまざまなステークホルダーらとともに協力して脆弱なわが国の研究基盤を変えて行きたいと強く思って行動を起こしています。どうぞ引き続き、ご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
<地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)採択時プレスリリース>
https://prtimes.jp/a/?f=d72793-2489-b208512d706893a51e91c62ca277fbe9.pdf
<地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)における岡山大学の取組概要(JSPS公表)>
https://prtimes.jp/a/?f=d72793-2192-a81e02b7f193b28a1198d950b22037fd.pdf
◆参 考
・【岡山大学】文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学広報「いちょう並木」Vol.105発行 ~地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)採択特別企画 世界に誇れる研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002152.000072793.html
・【岡山大学】第1回 岡山大学 地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)シナジーセッションを開催 ~わが国の研究大学の山脈を築くためのシナジーの種をまく~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002335.000072793.html
・【岡山大学】第1回 岡山大学 地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)シナジーセッションの様子を岡山大学公式YouTubeで公開開始!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002372.000072793.html
・【岡山大学】日本学術振興会(JSPS)主催「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)キックオフシンポジウム」に那須保友学長が登壇~わが国の研究大学の山脈(PEAKS)形成のために、「競争」から「共創」への転換で社会変革を!~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002353.000072793.html
・【岡山大学】那須保友学長が先頭に立ち「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の学内説明会を順次開催!~岡山大学長期ビジョン2050実現のために、全学を挙げてJ-PEAKSを推進~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002278.000072793.html
◆参考情報
・【岡山大学】「岡山大学最重点研究分野」を制定~地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学を実現するために~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001601.000072793.html
・研究大学の舵取りを担う高度研究系専門人材~岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)のこれまでとこれから~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20230831-1-1.pdf
・岡山大学における研究インテグリティ体制強化促進について
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20230728-2.pdf
・文部科学省「研究大学強化促進事業」(最終事業評価:S)
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/news/20231019news.pdf
・【岡山大学】文部科学省「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」に採択~わが国の研究力・イノベーション創出を牽引する地域中核・特色ある研究大学へ~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001395.000072793.html
・【岡山大学】文部科学省「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」採択と今後の取組概要について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001451.000072793.html
・【岡山大学】「岡山大学研究力・イノベーション創出強化実現会議」を設置・始動~矜持とスピード感を持って社会変革を実現する研究大学を目指し、司令塔機能を一本化~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001788.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学長期ビジョン2050をより確実に実現させ、社会変革を起こす”力”がある研究大学:岡山大学を目指して「岡山大学研究ポリシー」を改正
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001798.000072793.html
・【岡山大学】スーパーシティ国家戦略特区とデジタル田園健康特区における関係大学連携「共生型連合体構想」の構築に向けて~山梨大学との意見交換を実施~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001815.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学「大学院修学支援制度」を始動 ~大学職員の高度化のひとつの手段としてナレッジワーカーとしての博士人材を育成・活用し、かつ大学法人経営や大学院改革の強化へ~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002317.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学高等先鋭研究院を創設~世界と伍す研究・イノベーションの卓越と厚みを育成するシステムを構築~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001681.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学4研究所が「高等先鋭研究院」として始動 ~組織としての「箱」ではなく、卓越、イノベーション創出、流動、育成を兼ね揃えた「システム」として運用を開始~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001835.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学高等先鋭研究院に先鋭研究群(研究特区)「植物・光エネルギー開発拠点」を認定~わが国屈指の国際競争力を有する研究拠点が研究の卓越性と地球と生態系の健康(Planetary Health)を実現へ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002489.000072793.html
・【岡山大学】わが国初の試みである「共生型連合体」のキックオフミーティングを開催~国家戦略特区における大学群が協働して社会変革を推進へ~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002518.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学「大学院修学支援制度(2024年後期)」認定式を挙行~大学職員の高度化を強化促進し、ナレッジワーカーとしての博士人材の育成・活用へ~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002534.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学研究力・イノベーション創出強化実現会議
(担当窓口:研究・イノベーション共創管理統括部 研究協力課)
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-7092
E-mail:innovation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id13553.html
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年8月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002391.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください