LED街路灯導入へ向けて実証実験を行っていた品川区は、「本格実施には時期早尚」とする見解を明らかにした。
長寿命、省電力の照明として注目を集めているLED。品川区は2008年12月より、電機メーカー6社から2基ずつ無償提供を受け、照明測定、コスト分析、区民へのヒヤリングなどを行ってきた。検証の結果、LED街路灯の本格的な導入を見送り、当面は省エネ街路灯に順次切り替えると発表。ネックとなったのは、コストとまぶしすぎる点だった。
LED街路灯は、従来型の水銀灯に比べて、消費電力と二酸化炭素排出量が3分の1に、電気料金が2分の1に削減され、環境面での効果が高い。一方、費用面で比較すると、省エネ街路灯より全体で約29億円のコスト高。電球の交換は不要だが導入費用が高く、半導体の安定器などの交換が発生することから、20年間のトータルコストが1基あたり20万円高くなるという。
明るさの度合いを測る照度では、6社のうち2社の製品が基準値に達しておらず、まぶしさの度合いを測る輝度では6社全てが基準範囲を超えていた。品川区都市環境事業部の齊藤信彦道路公園課長は「国道に導入されているLED街路灯は自立柱で、高さ10メートルの場所にあり、間隔が40メートルほど空いている。これに対し、品川区の街路灯のほとんどが電柱に付けるタイプ。高さ4.5メートルで、間隔は28~30メートル。設置場所が路面に近く、光が強すぎて事故の原因になる場合もあると判断した」と話す。
省エネ街路灯は、消費電力量、二酸化炭素排出量、電気料金がLED街路灯と変わりがなかったことから、標準街路灯1万2,388基のうち約830基が今年度中に切り替わる予定だという。区は「LEDへの切り替えは、今後の性能、価格動向を見守り、引き続き検討していく」としている。