白金のクラブ「ダンステリア」が27年の歴史に幕-ファイナルイベントに700人

閉店後、店を片付ける2代目の勝本有輝さん。壁には江守さんが描いたイラストも

閉店後、店を片付ける2代目の勝本有輝さん。壁には江守さんが描いたイラストも

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 白金高輪駅近くのクラブ「DANCETERIA(ダンステリア)」(港区白金1、TEL 03-3444-0097)が6月26日、27年の歴史に幕を閉じた。

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 1984(昭和59)年にオープンした同店。70年代のソウルミュージックをメーンに60年~80年代のブラックミュージックを楽しめる店として、多くのファンに愛されてきた。初代オーナーは、全国ディスコ協会の会長を務めたドン勝本さん。DJのニック岡井さんが発信したダンスステップの店としても知られる。

 2007年、ドン勝本さんとニック岡井さんが相次いで死去。勝本さんの長男である有輝さん(25)が店を継ぎ、先代の片腕でイラストレーターでもある江守さんらと経営を続けてきた。閉店の理由について、有輝さんは「ダンステリアでリアルタイムに青春時代を過ごした人たちは、すでに50代以上。自分と同年代の子どもを持ち、夜遊びする年齢ではなくなっている。ソウルミュージックを求めて遊ぶ人たちが減り、時代の流れについていけなかった」と話す。

 もともと「ソウルミュージックに興味はなかった」と有輝さん。店を継ぐ前は別の仕事に就いており、勝本さんの病を機に店を手伝うようになったという。「当時から経営が芳しくなく、店を継ぐ自信もなかった。父親が亡くなった時に店を閉めて伝説にすれば良かったという人もいる。ただ、店主本人から『残してやれるものはここしかない』と言われていたし、亡くなる直前は必死で店の経営について教えてくれた。続けているうちに常連さんとのつながりもできて、いつの間にか居心地が良くなっていた」と笑う。

 丸4年の営業を経て、悩んだ末に閉店を決意。「最後は盛り上げて終わろう」という常連客や同業者らの協力で、3月から約25のイベントを開いてきた。今月24日~26日に行われたファイナルイベントには延べ700人が駆け付けたという。

 「ダンステリアは先代が思い描いていた店。父親とニックさんと江守さんの3人がいて、ダンステリアだと思う」と有輝さん。今後は、以前からアルバイトとして働いていた三軒茶屋のソウルバー「ラビングパワー」(世田谷区太子堂)に勤めるほか、赤坂のソウルバー「ミラクル」にも水曜のみ店に立つ。

 有輝さんは「営業中はDJをしていたので、お客さまと話す機会が少なかった。常連さんには次に働く店にお越しいただき、たくさん話をしたい。ダンステリアを4年間続けてみて、ソウルミュージックを残していくことが自分の役割だと感じている。若い世代を取り込まないと、ソウルミュージックは残っていかない。年配の方と親交を深めつつ、若い世代との橋渡しができれば」と力を込める。

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