中延駅近くの銭湯「中延 松の湯」(品川区戸越6、TEL 03-3783-1832)のおけが7月2日より、オリジナルおけ「ナツヨン」に変わった。
シンガー・ソングライターの石野田奈津代さんが、4月25日に同銭湯で行った銭湯ライブDVD「ココロの銭湯~音の湯」発売に合わせたもの。コマーシャル湯おけ「ケロリン」を製造する睦和商事(江戸川区)に依頼し、ケロリンおけとほぼ同じデザインに仕上げた。
石野田さんは1980(昭和55)年生まれ、伊豆諸島の神津島(こうづしま)出身。1999年、18歳でメジャーデビューを果たすも約2年でレコード会社、所属事務所との契約が打ち切られることに。その後さまざまな活動を経て2005年に再始動。2009年にはメジャー再デビューし、テレビ番組の中で笑福亭鶴瓶さんの「泣ける歌」として紹介され話題を集めた。
もともと銭湯が大好きだという石野田さん。2007年に知人のアーティストを呼び掛け、松の湯で銭湯ライブを企画した。「いつもお風呂で鼻歌を歌っていたので、ライブならもっと気持ちいいだろうと思った。銭湯が生歌で一番伝わる場所だと思う」。ライブを行う銭湯の条件として富士山の絵が譲れなかった。富士山の絵がある銭湯を探し、松の湯にたどり着いたという。
松の湯は1948(昭和23)年開業。「オール天然温泉」で、浴場の富士山の絵は2年に1度書き変える。店主の伊東正博さんは「ライブの話を依頼されて初めは迷ったが、石野田さんの歌声を聴いたらファンになった」と笑う。
4月25日に行われたライブは3回目。DVDの価格は、銭湯にちなみ1,010円、1,010枚限定で発売する。松の湯で100枚発売するほか、石野田さんのライブツアー会場で販売する。
DVDの宣伝を兼ねて作った「ナツヨン」おけを見て、DVDに興味を示す利用客も多いという。石野田さんは「銭湯ライブでは本当に自分のやりたいことができた。銭湯が大好きなので、多くの方が銭湯に行くきっかけとなれば。いつか全国の銭湯を巡ってライブをしたい」と夢を語る。