北品川の旧東海道沿いにある八百屋「マルダイ大塚好雄商店」(品川区北品川2、TEL 03-3471-1285)は11月初旬から、品川カブの販売を始めた。
品川カブは、かつて品川で栽培されていたといわれる江戸野菜。同店を経営する大塚好雄さんが、まちおこしのブランドとして育てるため正式に種を作り、普及活動に力を入れている。昨年から設置した江戸野菜コーナーには、現在品川カブのほか、千寿ネギ(330円)、亀戸大根(250円)などをそろえる。
今年は新たに「品川かぶ漬」を商品化。同商品は塩漬け(330円~)と糖しぼり漬け(現在製造中で価格は未定)を用意し、築地の東京シティ青果(中央区)で販売する。市場を訪れる八百屋へのアピールが狙い。「まろやかで甘味がある」という塩漬けはすでに販売を始めており、今月16日に大塚さんの店で販売したところ、その日のうちに20本を売り切った。
このほか品川カブを使ったユニークな商品も登場している。南品川のギョーザ店「しおの屋本店 夢工房」(南品川5、TEL 03-3471-3213)では、昨年から品川カブ入りのギョーザ(1個=40円)を発売。同店の塩野さんは「カブ独特の辛味があるので、昨年はその風味を前面に出し過ぎてあまり売れなかった。今年は辛味を抑えてネギ油を加えたら評判がいい。今月の売り上げ目標は1万個」と意気込む。
北品川の洋菓子店「品川菓匠 孝庵」(北品川2、TEL 03-3471-6395)では、昨年に引き続き品川カブを使ったスイーツ「蕪(かぶ)」(420円)を用意。さらに今年は、和菓子店「伊勢屋」(北品川2、TEL 03-3471-7747)が「品川蕪饅頭」(70円)を考案。おからと品川カブを餡に入れて葉を練り込んだ皮で包み込んだ。店主の岸誠太郎さんは「カブと餡が果たして合うのかと思ったが、おからを入れることでカブ独特の風味を和ませた。まちおこしの一端を担げれば」と笑う。
昨年2軒だった品川カブの栽培農家は今年4軒に増加。11月3日から渋谷区ふれあいセンター(渋谷区)で開催されている企画展「江戸野菜で東京散歩2」では、江戸野菜の一つとして品川カブも展示されるなど徐々にその活動が広がりをみせている。
大塚さんは「地元の名物になるようなコース料理など、まだまだ品川カブを使った商品の企画を考えている。いつか農地のない品川に畑を作り、地元の人たちで栽培できれば」と夢を描く。