体験型経済学習施設「スチューデントシティ/ファイナンスパーク」が6月11日、小中一貫校の品川学園(品川区北品川3)に新装オープンした。
小中一貫教育を進めている品川区は、市民科学習の中で体験型の経済学習プログラムを実施。1919年にアメリカで発足した教育団体「ジュニア・アチーブメント」が展開しており、品川区では2005年に日本で初めて導入した。ジュニア・アチーブメント日本(品川区)がプログラム提供とオペレーションを担当する。
これまで旧八潮南小学校と城南中学校の教室を活用して実施していたが、品川学園の新校舎建設のため1年間休止。今年4月、同校の開校に伴い、校舎内に専用施設を併設した。規模を拡大し、広さは約1000平方メートルに。
スチューデントシティの対象は小学校5年生。共同通信社、シティバンク銀行、セコム、ゼビオ、セブン-イレブンジャパンなどがブースを出店。現実に近い店舗を設置した街を再現し、会社の経営側(経営・営業・販売・経理)と消費側(購入・収支記録・納税など)を体験する。8時間の事前学習を経て実施。1時間の事後学習を学校で行う。
ファイナンスパークの対象は8年生(中学2年)。アメリカン航空、アメリカンファミリー生命保険、大和証券グループ本社、東京電力、三井住友銀行などがブースを出店。実際の生活空間を再現した施設で、年収や家族構成が定められた架空の社会人として、消費生活をシミュレーション体験する。家賃、食費、娯楽費、投資など家計の収支や支出について決定し、将来の進路について考える機会を提供。8時間の事前学習がある。
「例えば小学校で『時間を守りなさい』と教えても、子どもにはなかなか伝わらない。スチューデントシティでは、仕事に遅れると同僚やお客に迷惑がかかるので、時間を守らなければならない理由が体験を通して理解できる。実学主義の品川区と考え方がマッチした」とジュニア・アチーブメント日本の高木正明常任理事。
品川区教育委員会事務局の冠木健指導課長は「社会に出なければ分からないことも多いので、実学として学んでほしい。社会全体がつながっていることに気付いてもらえれば」と話す。