大森駅近くの映画館「キネカ大森」(品川区南大井6、TEL 03-3762-6000)が7月13日、リニューアルオープンした。経営は東京テアトル(新宿区)。
同館は1984(昭和59)年、日本初のシネマコンプレックスとして開館。通常上映のほか、旧作を2本連続で上映する「名画座2本立て」を週替わりで実施している。現在は「西友大森店」(同)の5階で、「キネカ1」(134席)、「キネカ2」(69席)、「キネカ3」(40席)の3スクリーンを備える。店舗面積は約270坪。
今年6月18日から1カ月近く休館し、開館後初めてロビーをリニューアルした。劇場への入場口付近のスペースを拡張し、フロア脇のスロープを正面階段中央へ移設。これまでパンフレットを展示していたコーナーには、新たに15席ほどの待合スペースを設けた。待合スペースの内装を手掛けたのは、中古物件事業を展開する同社のリノベーションブランド「リノまま」。
売店には新たに厨房(ちゅうぼう)を設けた。これまでは既製品を販売していたが、今後はテアトルシネマグループ各館と同様の軽食を提供する。
フードメニューは「ポップコーン」(塩300円、キャラメル350円)や「こだわりホットドッグ」(プレーン340円、チーズ450円)、「ほっこりポテト」(プレーン280円、チーズ320円)など。ドリンクメニューは「コカ・コーラ」「オレンジジュース」「ウーロン茶」(以上280円)のほか、「ヱビスビール」(540円)や「トリスハイボール」(340円)などを用意する。上記のフードメニューは、ドリンクとセットで30円引きに。
開館当初から続くパンフレットのコレクションは、来館者からの持ち込みやバックヤードで保管するものを含めると1000冊を超えるという。リニューアル後は待合スペースのほか、「キネカ3」入場口横のラックなどに展示し、上映作品に合わせて入れ替える。編成担当の渋谷実里さんは「映画を観なくても、パンフレット閲覧や飲食売店への来店だけでも歓迎している。気軽に立ち寄ってほしい」と呼び掛ける。
同館では、リニューアル前の姿を残しておきたいという理由から制作したショートムービー「もぎりさん」を映画本編前に併映する。俳優・片桐はいりさん扮(ふん)する映画館スタッフ「もぎりさん」と、小さな映画館にまつわる人々の姿を描いたもの。リニューアル前の同館で一晩かけて撮影した。
「スクリーン上でも劇場の雰囲気を楽しんでほしい」と話すのは、支配人の横田ます美さん。「観終わってロビーに戻ると、そこが作品の舞台。すぐに聖地巡礼ができる」と笑う。作品は全6話で、月替わりに上映。12月31日まで。
上映期間中、同館では「世界最速!?体験型聖地巡礼キャンペーン」を展開する。実際にスタッフとして劇場に現れたもぎりさんに、「もぎりさん、今日のおすすめの映画は何ですか?」と声を掛けると、「何か良いこと」が起こるという。