大井町駅近くの劇団四季専用劇場「キャッツ・シアター」(品川区広町2)で8月11日、こけら落とし公演が行われる。
「キャッツ」は、ノーベル賞作家T.S.エリオット(1888~1965)の詩集「Old Possum's Book of Practical Cats」を基に、作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバーらによって作られたミュージカル。満月が輝く都会のごみ捨て場で、人間に飼いならされることなく、したたかに個性豊かに生き抜く24匹の猫の姿を描く。
1981年のロンドンでの開幕以来、世界約40カ国で上演されてきた。国内では1983(昭和58)年に開かれた東京・西新宿の初演以来、札幌、仙台、静岡、名古屋、横浜、大阪、広島、福岡の9都市で、のべ23公演。国内総公演数は9802回、総入場者は約969万人。首都圏では横浜公演以来6年ぶり、品川区では五反田公演以来11年ぶりとなる。今年11月11日には日本上演35周年、2019年3月12日には日本公演通算1万回を達成する見込み。
新劇場は、舞台と客席とが一体化した構造が特徴。客席は1階のみのアリーナ形式で、舞台から最後列までの距離は約20メートルと近く、どの席からも臨場感を味わえるという。最前4列は回転席となっており、前奏に合わせて舞台と共に180度回転する。敷地面積は1162坪、客席数は1280席。
猫の視点の世界を再現し、舞台と客席全体には実物の3倍サイズのごみのオブジェを約3000点設置する。ご当地ごみとして、品川観光大使「シナモン」のぬいぐるみや「しながわ水族館」のチケット、大井町行きのSuicaなどを仕込む。そのほか、劇場のどこかには四つ葉のクローバーを隠している。
今回の大井町公演では、一部の演出や振り付けを変更する。舞台美術家の土屋茂昭さんは「世界にも例がない『キャッツ』のためだけの劇場。観客が猫たちと共に思い出をたどれる場所になれば」と話す。振り付け・演出スーパーバイザーの加藤敬二さんは「長い歴史を重ねてきた『キャッツ』は、僕自身がそうであったように、客席に座った方の人生を変える力のある作品だと思う」とほほ笑む。
チケット料金は、S席=1万1,880円(子どもは半額)、A席=8,640円(同)、B席=6,480円、C席=3,240円。