
結婚式場、宴会場の「八芳園」(港区白金台1)が10月1日、リニューアルオープンした。
リニューアルのコンセプトは「日本の、美意識の凝縮」。2月1日から休館し、創業以来最大規模の改修工事を行った。
同館総支配人の関本敬祐さんは「今回のリニューアルは、八芳園グループが文化資産を活用したエリアプロデュース企業へと変革するスタートそのもの。婚礼事業への依存を脱却し、レストラン事業、デザイン事業、ギフト事業、自治体との連携、DXなどを進め、シナジーを生み出していく」と説明する。
「スラッシュカフェ」跡を改装し、メインロビーとして使う。壁面には、福岡県大川市の伝統工芸「大川組子」のアートを設置。題名は「光風庭伝」で、水墨画家の小林東雲さんによる水墨画を、組子職人の大川正人さんが組子アートで表現した。フロアの中央には、家具職人の西田政義さんが制作した、八芳園の象徴である松の木をモチーフにしたシンボルツリーを飾る。「『継承と創造』をテーマに、八芳園の原点である日本庭園との親和性をより一層深めた」と関本さん。
同館3階には、レストラン「ALL DAY DINING FUDO(オールデイダイニング フドウ)」をオープンした。「旬の食材で今を感じるひとさら」をテーマに、厨房(ちゅうぼう)内にある石窯を使った料理を中心に提供する。ゆったりとしたテーブル席のほか、シェフの調理光景を楽しめるようオープンキッチン前にカウンター席を用意。一つのレストランで異なる雰囲気を感じられる設計にしたという。
5階と6階には、2024年10月に立ち上げた会員制サービス「CLUB HAPPO-EN(クラブ はっぽうえん)」の会員専用フロア「CLUB FLOOR(クラブフロア)」を新設した。5階の「STUDIO KOKU(スタジオ こく)」はカンファレンス需要を見込み、全長20メートルのLEDウオールを設置。最大378人を収容する。6階の「HALL HAKU(ホール はく)」は、あらゆるイベント形式に対応できるようレイアウトが変更可能。スタジオにはラウンジ、ホールにはバーを併設する。
婚礼用の設備では、チャペルと打ち合わせスペースをリニューアルした。チャペルは「『誓いの場』から『祝いの場』へ」をテーマに、挙式にとどまらない使い方を提案する場所として一新。最大80人を収容するほか、屋外には水盤を設置し、雨の日でも音や風景を楽しめるよう設計したという。打ち合わせスペース「インスピレーションサロン」は、結婚式のイメージを五感で体験できる空間にアップデート。VR機器を使って結婚式を体感する「HAPPO-EN EXPERIENCE SHOWCASE(エクスペリエンス ショーケース)」を導入するほか、料理の打ち合わせをする「シェフズキッチン」や花を選ぶ装花アトリエを設置する。
「八芳園の日本庭園は400年以上の歴史を持つ。2043年に迎える100周年に向け、変革を進めていく」と関本さん。「今回のリニューアルを機に、白金台・白金高輪エリアを進化させていく。この場所の魅力を高めて、国内外のお客さまから『目的地』として選んでもらえることを目指す」と意気込む。