品川駅港南口近くの「コクヨ エコライブオフィス品川」(港区港南1)で7月24日、イベント「浮世絵から読み解く品川の魅力&立版古ワークショップ」が開催された。
主催は品川経済新聞(以下、品経)、協力はエコ+クリCafe。同会場での開催は第1弾に続き2回目。参加者は24人。
同イベントは「品経文化センター」の第4弾。経済やビジネス、カルチャーのエキスパートを迎え、トークを中心に読者とコミュニケーションを図る場を展開する。今回は、北品川在住で舞台美術家の杉山至さんをゲストに招いた。進行は品経・宮脇淳編集長。
前半は、「なぜ品川に関する浮世絵作品が多いのか」について解説。徳川家光が沢庵和尚を品川に呼び寄せた経緯や、家光が残した「品川は景よし」という言葉、浮世絵に描かれた品川の季節と人々の営みを紹介した。
後半は、「立版古」のワークショップを実施。立版古とは江戸時代から大正時代に流行した子どもの遊びで、紙で作るプラモデルのようなもの。厚紙にレイアウトされたパーツを切り抜いて平面を重ね、立体的に見えるよう組み立てた後、背景にそれぞれ好きな絵を描いて、一つの情景を作っていく。
参加者らは、喜多川歌麿の「土蔵相模/品川」、歌川広重の「東海道五十三次 品川」「東都名所 高輪 二十六夜街 遊興之図」の3つの題材から気に入った浮世絵を選択。「東都名所 高輪 二十六夜街 遊興之図」を選んだ男性は背景に花火を描き、「小学生の工作を思い出す。当時の気持ちに戻ったよう」とほほ笑んだ。「東海道五十三次 品川」を選択した女性は、「佃島や月島、豊洲のあたりから見える風景を組み合わせてみた。ビル群と橋、夕焼け空に飛ぶカラスがしっくりときていて、とても気に入っている」と満足そうな表情。ほか、御殿山の桜や、かつて北品川から見えていた日の出の様子、旧東海道沿いの行きつけの居酒屋への道を描くなど、さまざまなオリジナル作品が生まれた。
イベントの最後に杉山さんは、浮世絵をはじめとした品川の「文化芸術資本」について言及。現代の開発で過去の資産が失われることへの危機感、魅力あるまちづくりのためにも新たな文化資源を生み出していく重要性を説いた。
宮脇編集長は、「浮世絵に描かれた在りし日の品川の風景を現代によみがえらせることは事実上不可能だが、過去の文化作品を学ぶことは未来のまちづくりのヒントになるのではないかと思う。建物の外観や街並みといった見た目の問題だけではなく、伝統的な祭りや新しいアートイベント、情報発信、拠点づくりなど、品川経済新聞が後方支援するような活動の場を増やしていきたい」と話す。
イベント終了後は参加者同士の懇親会を開催。参加者の多くが近隣住民だったこともあり、品川の街の魅力や浮世絵、お互いの作品などに関する話を弾ませた。