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青森で見つかった東京・大井町のホテルのビニール傘、無事返却される

青森から戻ってきたビニール傘と、笑顔の「ヴィアイン品川大井町」スタッフ

青森から戻ってきたビニール傘と、笑顔の「ヴィアイン品川大井町」スタッフ

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 青森県十和田市の「温泉民宿 南部屋」で発見されてSNSで話題になった、ホテル「ヴィアイン品川大井町」(品川区大井4)の貸し出し用ビニール傘が9月15日、同ホテルに無事返却された。

「温泉民宿 南部屋」看板犬のクララ(左)、リュック(右)と過ごすビニール傘(写真提供=温泉民宿 南部屋)

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 南部屋のXアカウントは8月22日、「ヴィアイン東京大井町」「自由利用」と書かれたシールが貼ってあるビニール傘の写真とともに、「お世話になっております。そちらの傘が、遠く長い旅をした末に青森県十和田は奥入瀬渓流入口にある当館の傘立てに鎮座しております。どの様にお戻し致しましょう?先にはなると思いますが、私が次回東京に出る際に直接お持ちしてもよろしいでしょうか。民宿南部屋 宿主」(原文ママ)と投稿。同投稿は9月24日現在、2.1万リポストされ、18万いいねが付いている。

 同日夜、JR西日本ヴィアインホテルズの公式Xが、傘を回収するための出張許可が下りるまでしばらく預かっていてほしいと返信。同ホテル経営企画部の担当者は「大きく話題になったことと、青森という距離の2つに驚いた。せっかくご好意で教えていただいたので、お礼も兼ねてなんとか直接引き取りに伺えないかと社内で相談した」と振り返る。

 南部屋宿主の田村暁(さとる)さんは「大井町には友人が住んでいて、何度も遊びに行ったことがある。ホテルも、名称こそ知らなかったが『大井町駅近くのあのホテルでは?』と見当が付くくらいなじみある場所で、地名を見て懐かしい気持ちになった」と話す。「傘が旅をしてきたと擬人化したら面白いかと思い、ちょっとした遊び心で投稿した。ヴィアインさんに届けたいとも思っていなかったので、返信が来てびっくりしたし、ずいぶんとフットワークの軽い会社だと感じた」とも。

 ビニール傘は、突然の雨の際などにホテルの宿泊客が一時的に利用できるよう置いているもの。同ホテルは2024年3月1日に「ヴィアイン東京大井町」から「ヴィアイン品川大井町」に名称変更したが、南部屋に置かれていた傘のシールには「ヴィアイン東京大井町」と記載されている。そのため、同担当者は「昨年3月以前に貸し出した傘ではないか」と推測する。

 ビニール傘が返却されるまでの期間、田村さんは預かっている傘の様子をXに投稿。傘が宿の風呂に入ったり、同民宿にいる看板犬のリュックとクララと一緒に過ごしたりした。

 9月11日、同担当者が東北地方のマーケティング調査も兼ねて南部屋を訪れ、傘を回収した。同担当者と田村さんは対面した際、SNSでのやりとりにお互い感謝を述べ、「ここで忘れたらまた取りに来ないと」などと歓談。同担当者は民宿に1泊し、翌日は十和田湖などの観光地を視察したという。

 一連の出来事について、「会社員が傘を取りに行くためだけに青森まで行くのは、批判的な人もいるのではないかと思っていたが、多くの温かいコメントをいただいた。南部屋さんと弊社のやり取りも好きだと言ってくださる方も多く、心がほっこりするような出来事だった」と同担当者。田村さんは「いつかヴィアイン品川大井町に伺って、ごあいさつしようと思っている。もしあのビニール傘があれば、また写真を撮ってXにアップしたい」とほほ笑む。

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