北品川商店街の総合案内所「品川宿交流館」(品川区北品川2)2階で11月27日、北品川にゆかりのある漫画家を招いたトークイベント「北品川まんが夜話(やわ)」が開催された。主催は品川経済新聞(以下、品経)。
同イベントは、読者と直接コミュニケーションを図る「品経文化センター」の第6弾。経済やビジネス、カルチャーのエキスパートを迎え、トークを中心に読者とコミュニケーションを図る場を展開する。ゲストは、「しおかぜ」で第59回ちばてつや賞一般部門大賞を受賞した北品川在住の桐村海丸さんと、「品川宿 猫語り」の作者・にしだかなさん。進行は品経・宮脇淳編集長。参加者は20人。
トークイベントは「漫画家になったきっかけ」や「北品川を舞台にしたマンガを描こうと思った理由」「制作秘話」など、7つの質問形式で実施した。
宮脇編集長がにしださんに、「作品を読んでいると、家の外観から入るシーンが多い」と質問を投げ掛けると、にしださんは「建物を描くのが好き。特に、北品川に残る古い家の木の模様を描いているときが楽しい」と回答した。それに対して桐村さんが「木の模様は時間を忘れるほど夢中になる。とてもよく分かる」と同意し、2人は意気投合。漫画家同士のニッチな共通点に、会場は笑いに包まれた。
最後の質問は「今後、どんな漫画を描きたいですか?」。これに対し、にしださんは「これからも一貫して、人が生活している様子を描き続けたい。大きな事件をクローズアップするのではなく、日常生活で起こるちょっとした出来事を切り出せれば」と話す。桐村さんは「以前描いた品川が舞台の『しおかぜ』をより長い話にする方向で構想を練っている。オリンピックまでには多くの人に認知される漫画にして、品川の魅力を発信したい」と意気込んだ。
イベント終了後は懇親会も実施。地元在住の参加者からは「2人のすてきな漫画家に品川を描いてもらえてとてもうれしい」と喜ぶ声が上がった。桐村さんが持参した原画を撮影したり、参加者が自分の好きなシーンにまつわるエピソードを語ったりするなど、和やかな雰囲気に。
宮脇淳編集長は「ゲストの2人はよほど気が合ったのか、打ち上げ後は2人で北品川の夜に消えていき、にしださんはそのまま桐村さんの家に泊まったようだ」と笑う。「年初より品経文化センターを隔月開催し、1年間継続できたのは大きな収穫。元来メディアは、人が集まる場が発信源となり、発展していったものでもある。これに立ち返り、品経文化センターがそういう場になっていければ」とも。