品川区内の建築物の特別公開やガイドツアーを行うイベント「オープンしなけん」が3月9日、区内9施設で開催される。主催は品川区。
品川歴史館の敷地内にある茶室「松滴庵」(写真提供=品川区建築課)
2015年から取り組む「シティプロモーション事業」の一環。区内の建築物の魅力を再発見するため、一般社団法人東京建築アクセスポイントに調査業務を委託。2018年秋から、公共施設や個人所有の一部建築物について、「歴史性」「作家性」「意匠性」「革新性」「地域性」「時代性」「継続性」の7つの観点で文献調査と実地調査を行った。品川区都市環境部の長尾樹偉さんは「歴史的価値やデザイン性だけでなく、地域住民の生活に根ざした建築物に注目した」と話す。
同イベントでは、調査結果をもとに9施設について特別公開や施設内のガイドを行う。公開する建物は、5層吹き抜けの大階段が特徴の商業ビル「東京デザインセンター」(東五反田5)、アールデコ風のインテリアが見られる「杉野記念館」(上大崎4)、2016年に改装した東急池上線・戸越銀座駅(平塚2)など。アメリカの建築家であるフランク・ロイド・ライトに学んだ天野太郎が設計した「品川バプテスト教会」(西品川2)では、前任の牧師がガイド役を務める。
1925年に建てられた「日本音楽高等学校1号館」(豊町2)は、幾何学模様の装飾が施された玄関部や当時の家具や照明器具が残る応接室などを見学できる。品川歴史館(大井6)の敷地内に残る茶室「松滴庵(しょうてきあん)」では室内見学を実施し、同館の書院では裏千家の山下宗枝さんによる茶会も行う。
区内の各エリアでは、徒歩による3コースのツアーを行う。五反田駅から大崎駅にかけて歩く「品川区の優れたオフィス建築をめぐる」コースでは、ポーラ五反田ビルや大崎ニューシティなどを構造や都市計画の観点から解説。集合住宅や幼稚園などの外観を楽しむ「荏原から旗の台の建築散策」コースや、石工やレンガ、銅板など職人の仕事ぶりに注目する「品川宿の建築に見る職人たちの技」コースも用意する。以上、所要時間は2時間。
締めくくりは、「建築を開く」と題したクロージングトーク・イベントを行う。ゲストに、建築雑誌「日経アーキテクチュア」編集長の宮沢洋さん、東京建築アクセスポイントのメンバーが登壇する。会場は東京デザインセンター。18時開演。入場無料。
長尾さんは「専門知識がない人にも楽しんでもらうことを念頭に企画を進めてきた。普段から眺めている景色の捉え方が変わるきっかけになれば。ガイドツアーでは、思わず周りの人に話したくなるようなエピソードが聞けるかもしれない」と参加を呼び掛ける。
一部イベントは往復ハガキによる事前応募制で2月22日必着。応募者多数の場合は抽選となる。「複数応募可能だが、当選した際に各イベントの開催時間帯が重複しないよう注意してほしい。区外在住者の応募も歓迎」と長尾さん。
開催時間は各会場により異なる。参加無料(一部施設は入場料あり)。