中延商店街が 「しながわ商店街応援プロジェクト」の一環で、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。中延商店街振興組合(東中延2)、一般社団法人五反田バレー(東五反田5)、Pathee(西五反田5)の共同施策。
「STORECAST」の管理画面デモ(写真提供=Pathee)
同プロジェクトは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた商店街を支援する取り組みとして、昨年5月から始動。区と五反田バレー、品川区商店街連合会(西品川1)が協力し、これまでに支援金の支給やECサイト活用に関する情報発信などを行ってきた。
中延商店街振興組合の抱える課題について、昨年8月からヒアリングを開始したところ、対外的な情報共有や業務のIT化が進んでいないこと、プロモーション不足といった弱点が浮き彫りになったという。
改善策として、主に3つの施策を行う。1つ目は今年2月、商店街の加盟店に導入したPathee提供の小売チェーン向けデジタル販促プラットフォーム「STORECAST」だ。同サービスは、GoogleマイビジネスやSNSなどの運用を半自動化し、一括管理できるツール。加盟店のGoogleマイビジネス登録を支援し、写真や店舗情報などを追加した。今後は「STORECAST」を利用し、商店街としてさまざまな情報を一括管理していくという。
五反田バレー代表理事でPathee社員の中村岳人さんは「買い物の目的に合わせて、Googleマップから近隣の店舗を検索する人が増えている。Googleマイビジネスと『STORECAST』をうまく活用すれば、店を知ってもらうきっかけになる」と説明する。中延商店街振興組合事務長の大庭雄策さんは「DXの説明も兼ねて、商店街の店を1軒ずつ訪問した。まだ全店舗に了承を得られているわけではないが、地道に丁寧にメリットを伝えていきたい」と話す。
2つ目は、昨年12月に解説したLINE公式アカウントだ。商店街のイベントやセール、クーポン券などの情報を発信する。地元商店街ファンの利用頻度アップや、普段利用しない店舗の周知を目的にしているという。
3つ目の施策として、同商店街の公式サイトを4月1日から30日にかけて段階的にリニューアル。店舗情報のページを増やし、SNSと連動させてスマートフォンからも閲覧しやすいデザインに変更した。将来的には中延商店街振興組合で簡単に情報を更新していけるよう、五反田バレーが支援を続ける。
大庭さんは、「新型コロナウイルス感染症の影響もあり、商店街は日々モヤモヤした気持ちで過ごしていた。五反田バレーのおかげで明確になった課題のうち、優先順位をつけて3つの施策から着手した。ITの最先端をいく企業と地元商店街のコラボレーションによって、お互いの刺激になったらうれしい」と話す。
中村さんは「これまで事業者向けの情報発信やセミナーを行ってきたが、商店街側からするとそもそも新しい情報を拾うこと自体が難しい。細かな課題を知るには、実際に商店街と手を組んで施策を打つべきだと考えた。中延商店街が区内商店街のモデルケースになれば。五反田バレーとしても、ITツールを導入して終わりにはしたくない。活用してもらうことがゴールなので、使わないともったいないと思ってもらえる空気を作っていけたら」と意気込む。