「南品川櫻(さくら)河岸 まちなか観光案内所」(品川区南品川1)が4月2日、旧東海道・品川橋のたもとにオープンした。運営は旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会(北品川2)。
同施設は、旧東海道品川宿の文化を伝える観光案内所、情報交換の場として運営する。建物面積は約4坪。施設内には観光パンフレットを設置するほか、近隣の建物や水辺の観光、品川宿についての情報をスタッフが案内する。
旧品川警察署品川橋交通待機所を改修して利用する。同建物は1929(昭和4)年に完成。交通安全協会の事務所や地元・櫻心町会の倉庫として使われてきたほか、映画やテレビドラマの撮影などにも活用されてきた。品川区の景観資源・文化財として保存しようと2020年、品川区が東京都から買い受け、2021年に修景工事を開始した。
品川区の藤田晃さんは「当時のままの姿を残す貴重な建物。交番の役目を終えた後も、『この建物を残したい』という思いで、地域住民が大切に守ってきた」と話す。
建物の外装は洋風洗い出し左官仕上げで、縦長の木製上げ下げ窓を設けているのが特徴。建設当時の写真は残っていないが、以降に撮影された写真を参考に当時の外観を想定し、再現したという。
「景観アドバイザーと調査を進めながら、できる限り当時の姿の復元に努めた。入り口のドアや窓枠は、過去の修理で付け加えられた部材を撤去してペンキを落としていくと、当時の塗装色で緑色が出てきた」と藤田さん。
3月16日には完成披露式典セレモニーが行われた。式典には、地元関係者や品川警察署長が出席し、しながわ観光大使見習いの「ハタチの龍馬」も登場した。
案内所について、同協議会の和田富士子さんは「旧東海道と目黒川が交差する場所。水辺の観光をキーワードに、寺社仏閣や歴史資源が集積している品川宿のシンボルとしてアピールしていきたい。新しい住民も増えているエリアなので、地域づくりについての情報を次の世代に伝承できる場所を目指す。皆さんの暮らしの安全を守ってきた交番跡として、これからも地域の見守り役を担っていけたら」と笑顔を見せる。
来年3月までは、月曜・木曜・土曜の開館を予定する。開館時間は10時~17時。