タコス店「みよし屋」(品川区西中延3)が西中延エリアの仲通り沿いにオープンして1カ月がたった。
2017(平成29)年から休業していた「そば処(どころ) みよし屋」を改装して利用する。築50年の外観はそのまま残し、内装はスタジオA建築設計事務所(港区芝2)の内山章さんが手がけた。店舗面積は11坪。席数はテーブル=18席、立ち飲み=6席。テイクアウト可。
店主の阿部太一さんは、「みよし屋」の4代目。マガジンハウス(中央区)に約20年勤務し、編集者として雑誌「anan」や「BRUTUS」などの制作に携わった。2020年、21年に両親を相次いで亡くしたことから、独立してフリーランスの編集業と並行し、店を継ぐことを決意。これまでのキャリアでつながってきた知人らが料理やデザイン、販売する雑貨などに関わり、開店にこぎ着けたという。
開店経緯について、阿部さんは「地域に新しいカルチャーを提案したかった。中延で生まれ育ち、地元の書店やレコード店に親しんだが、いずれも今はない。タコス屋という、この街にはなかった新しい店で地域にインパクトを与えたい」と話す。
看板メニューのタコスは、豚肉をスパイスとオレンジ果汁で漬けて焼いた「カルニータス」、「フライドトマト」「シュリンプ」など6種類(各418円)をそろえる。トウモロコシ粉を混ぜてトルティーヤを作るために使う「こね鉢」は、阿部さんの父がそば粉をこねるときに使っていたもの。
このほか、「牛もつのトマト煮」(660円)、「ズッキーニのトルティージャ」(715円)、「フィッシュ&チップス」(770円)などの総菜を15時から提供する。フードメニューのレシピは、and recipe(渋谷区)の山田英季さんが監修した。
ドリンクメニューは、鎌倉の「ヨロッコビール」(小=660円、大=1,045円)を生ビールで提供する。「ブルワリーの立ち上げ時に取材させてもらい、思い入れのあるビール」と阿部さん。缶や瓶のクラフトビールやレモンサワー(660円)、コーヒー(385円~)、レモンソーダ(385円)などもそろえる。
店内で販売する雑貨は、グラフィックデザインチーム「Bob Foundation(ボブファンデーション)」による「DAILY BOB(デイリーボブ)」シリーズや、編集者の竹村卓さんによるアパレルブランド「EL BURRITO'S SKATE AMIGOS(エルブリトス スケート アミーゴス)」の商品などをそろえる。「ファミレスのレジ横にあるおもちゃコーナーをイメージした。子どもの頃、祖父母に買ってもらってうれしかった思い出がある」(阿部さん)
「店づくりを雑誌に見立てている。雑誌は、さまざまな話題に少しずつ触れることのできる出合いの場。両親の代からみよし屋に親しんでもらっているお客さまの中には、タコスを食べたことがない方もいる。ビールや総菜、雑貨もあるので、どれかをきっかけに新しいものに出合える店にしたい」と阿部さん。「店を復活させるに当たって、地域の方との関わりも増えた。人々が集って緩くつながる、地域のコミュニティープレースのような場になれば」とも。
営業時間は11時~21時。火曜定休。