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品川歴史館で特別記念展 御台場の土木工事を紹介、初公開の資料も

特別展の入り口

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 品川区立品川歴史館(品川区大井6、TEL 03-3777-4060)のリニューアル特別記念展「品川の海に御台場ができるまで-日記でひも解く170年前の大工事-」が現在、同館で開催されている。

常設展示。品川御台場の普請を右から工程順に再現した模型

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 同館は郷土資料の保存と活用、区民文化の向上を目的として1985(昭和60)年に開館。施設全体の改修工事のため2022年7月から休館し、今年4月にリニューアルオープンした。

 同展では、品川御台場の普請(土木・建築の工事)に関する資料やパネルを展示する。1853(嘉永6)年6月のペリー来航をきっかけに海防のため幕府が命じた品川沖に大砲を置く台場の普請では、同年8月から約1年4カ月の工期で6基の品川御台場が作られた。現在、台場公園として整備された第三台場、レインボーブリッジ付近の海上にある第六台場が残っている。

 同館学芸員の冨川武史さんは「1854年のペリー再来と品川御台場完成からちょうど170年になる節目に合わせて企画した。御台場普請は講演会などでも人気が高いテーマなので、会期も長めに設定している」と話す。

 会期を通して、普請に関わった人物の日記や台場の図面、資材の領収書など56点を展示する。冒頭で紹介する「江戸湾品川沖御台場御普請絵図」は築造途中の御台場を江戸城側から見た絵で、「ここまで細かく描かれた絵図は他になく、機械がない時代の工事の様子を確認できる。御台場は機密情報なので、その絵を江戸城側から見て描ける人も、それを見られる人も限られてくる。誰が何のために描いたのか、展示の最後で答え合わせを用意した」と冨川さん。

 下蛇窪村(現在の品川区豊町・二葉付近)の村役人で、品川御台場の普請にも関わった伊藤清一郎が記した「内海御台場御築立御普請御用日記」は同展が初公開。昨年、子孫の家で発見された。冨川さんは「この日記の存在を記した資料はあるが、実在するのか半信半疑だった。品川の村々が御台場普請で果たした役割は詳細不明だったが、この日記はそれを記した第一級の資料」と話す。

 12月15日には、同館2階で冨川さんによる講演会「将軍を守る江戸湾の砦-村名主の日記で紐(ひも)解く品川御台場の普請」を開く。参加申し込みは10月21日から同館ホームページで受け付ける。

 「特別記念展の最終日は、品川御台場が完成した12月15日。講演会もその日に開催するので、盛り上げていきたい。常設展示と合わせて楽しんでほしい」と冨川さん。「お台場に行く機会があれば、実際の台場にも着目してもらえたら」と話す。

 開催時間は9時~17時。月曜休催(祝日の場合は翌日)。観覧料は、一般=100円、小・中学生=50円。12月15日まで。

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