品川区が昨年12月19日、ふるさと納税の体験型返礼品として、JR東日本東京総合車両センター(品川区広町2)での「山手線E235系車両点検ツアー」を追加した。
東京総合車両センターで山手線車両の各種点検や見学を行う。写真はイメージ(写真提供=JR東日本)
同ツアーでは、大井町駅隣接の同センターで山手線E235系の各種点検や見学を行う。寄付額は10万円で、定員は最大4組8人。このほかの返礼品として、寄付者のデザインを基にしたオリジナルヘッドマーク(列車の先頭部に掲げる飾り看板)の受注製作や、車内用車両番号板のレプリカを用意する。
品川区では、ふるさと納税による他自治体への住民税流出額が年々増え続け、2024年度は45億4,000万円に拡大。2019年度から倍増している。一方、ふるさと納税寄付金による住民税の流入額は、過去5年いずれも年間3,000万円に届いていない。
品川区税務課の担当者は「減収となった税金は、本来区民への行政サービスに使われるはずの貴重な財源であり、この状況が続けば区民サービスの低下につながりかねない。品川区はふるさと納税制度の抜本的な見直しを国に求めつつ、地元企業と連携した体験型返礼品の新規開発に取り組んでいる」と話す。
鉄道関連の返礼品については、「同センターが大井町駅に隣接しているという立地を生かし、通常では体験できない山手線E235系の車両点検ツアーを企画した。この返礼品の体験を通じて、品川区の産業技術の高さや鉄道との深い関わりを広くアピールし、地域経済活性化に寄与できれば」と期待を寄せる。
同ツアーでは、山手線の車両車庫やセンター内の入換作業、E235系の下部にある床下機器や台車の見学、パンタグラフの昇降、車内放送やドアの開け閉め、ドアの一斉開錠、運転台の説明・写真撮影などを体験する。開催は3月1日、22日各日の10時~、14時~。時間は2時間30分。
ヘッドマークは寄付者のデザインをもとにレプリカを製作し、完成後は同センター内に留置してある山手線E235系に掲出して記念撮影を行う。車内用車両番号板のレプリカは、寄付者の好きな番号や文字を入れることができる。
同担当者は「今後も、体験型のふるさと納税返礼を通じて区内に足を運んでいただく機会をつくっていければ。そして、最先端の技術が集まる企業群や歴史ある街並み、商店街に代表される温かい地域コミュニティーなど、品川区ならではの多彩な魅力を感じてもらえたら」と話す。
寄付は、寄付ポータルサイト「JREMALLふるさと納税」で受け付ける。