友愛労働歴史館(港区芝2)は8月4日から、老朽化による建て替えのため3年間の休館に入った。
同館は、2006年「友愛会館(旧ユニテリアン教会)」の6階に開館した資料館。「社会運動発祥の地」として、労働運動の資料公開や、労働組合に関する8回の常設展・特別展を開催してきた。運営は日本労働会館。
友愛会館は、労働運動家・鈴木文治が結成した「友愛会」にちなむ。鈴木文治は元新聞記者で、ユニテリアンと呼ばれるキリスト教徒の1人として社会運動に従事。1912(大正元)年、吉野作造や新渡戸稲造らの支援を得て、ユニテリアン教会(のちの友愛会館)を拠点に、労働者の人権の尊重、地位向上などを訴えた。
主に労働組合関係の資料を扱っている同歴史館解説員の間宮悠紀雄さんは「『労働組合』がただ賃金引き上げを要求する団体だと思われるのはさみしい。労働者たちが法律で守られておらず、デモを起こせば弾圧された苦難の歴史を見ると、先人たちが目指していたものが見えてくる」と話す。「新館ができたら、彼らが残したメッセージを読み解くヒントになる場所でありたい。中学高校の教科書では一言で語られてしまう先人たちの思いを感じていただければ」とも。
展示会活動休止中も、資料の収集や管理、インターネット等によるPR活動などは継続する。同館の再開は、「友愛会」が発足してちょうど100年目を迎える2012年8月を予定。