ローソン(品川区大崎1)は4月14日、決算発表を行った。
会見では2011年2月期決算と2012年2月期計画のほか、東日本大震災による影響と今後の被災地復興・経済活性化に向けた取り組みについて発表。この様子はユーストリームで生中継した。
営業利益は555億円(前期比110.5%)、経常利益は545億円(前期比110.4%)、第3四半期純利益は253億円(前期比202.1%)。8年連続の増益となり、過去最高益を達成した。
昨年の記録的な猛暑によりドリンク類、アイスクリーム類などの一部の商品群の売り上げが増加。一方、直営店のフランチャイズ化を進めたことに伴い、グループ全体の営業総収入は前年同期比5.5%減の4,412億7,700万円に。また、デザートやパスタなどの荒利益率の高い商品がヒット。ローソン単体の既存店売上高前年同期は100.8%となり、前年を上回った。
東日本大震災の影響としては、三陸沿岸の店舗を中心に約20店舗が損壊。商品の流出や物流網の寸断、原発事故による休業などにより、50億円の特別損失を計上する見込み。
震災直後、同社は被災状況の把握・救援物資の支援を行った。関東の工場が被災していたため、パンは北海道、おにぎりは関西から取り寄せて被災地へ届けたという。震災4日後には工場を稼働すべく、自社で重油やガソリン、軽油を確保。11日後には9割以上の店舗が営業可能となった。
新浪剛史社長は「震災後、おにぎりやパンがあることに喜んでいただくお客さまを見てその大切さを身にしみて感じた。逆に販売商品が乾物ばかりでお客さまが落胆する姿を見て誠に申し訳ない気持ちになった。欲しい物が欲しい時にあるという当たり前のことが重要だと感じた」と話す。
被災地復興へ向けた取り組みとして、学生を対象とした奨学金支援制度「“夢を応援”基金」を創設。ローソンからの拠出金4億円と、利用客・加盟店オーナー・店舗従業員・取引先企業・グループ役職員からの募金で運営し、1,000人の奨学生に対し最長7年間にわたり毎月3万円を給付するなど、長期的な支援を行う。基金の申し込み受け付け開始は今夏を予定。
今月21日には、仮設住宅の建設が進む「陸前高田市立第一中学校」(岩手県陸前高田市)近くで、移動販売車モバイルローソン号の移動販売を開始。このほか仮設店舗を建てるなど、被災地の店舗復旧を進めていく。
2011年度の重要施策としては「グループ制・支店制の導入」「機会ロスの削減」「会員カードの活用」などを挙げ、今年度中に全店舗をLED照明に切り替え、店内照明の電力使用量を4割削減することを目指す。
新浪社長は「今後は自粛ではなく、新商品をどんどん発売し経済活動をやっていく。日本を元気になるための活動を企画し、協賛もしていきたい」と話す。