![2025年度当初予算案を発表する森澤恭子区長](https://images.keizai.biz/shinagawa_keizai/headline/1738754932_photo.jpg)
品川区は2月5日、品川区役所第二庁舎4階の災害対策本部室で2025年度当初予算案を発表した。
会計予算の区分とその2024年度比は、一般会計(歳入)が過去最大の2,347億6,300万円で15.3%増、国民健康保険事業会計が343億8,451万5,000円で6%増、後期高齢者医療特別会計が110億23万7,000円で1.9%増、介護保険特別会計が281億1,056万2,000円で0.5%増。災害復旧特別会計は15億円で増減なし。
昨年初めて導入した品川区民の幸福に財源を振り分ける「ウェルビーイング予算」を継続する。施策を見直しつつ、事業のスクラップと削減によって捻出した約20億円を使い、「ウェルビーイング予算2.0」を編さんした。「ウェルビーイング予算2.0」4つの柱は、「安心・安全を守る」「社会全体で子どもと子育てを支える」「生きづらさをなくし住み続けられるやさしい社会をつくる」「未来に希望の持てるサステナブルな社会をつくる」。
「安心・安全を守る」施策では、災害時に備えた水循環型シャワーを導入する。併せて、間仕切り付き段ボールベットを各避難所へ配備する。高齢者・障害者世帯の家具転倒防止器具の購入・設置費用を所得制限なしで無償化し、若い世代を対象とした防災士資格取得費用の助成も行う。
「社会全体で子どもと子育てを支える」施策では、2026年度の新入生(現在の小学5年生)から区立中学校標準服(制服)を23区で初めて無償化する。また、都内で初めて1人あたり7万5,000円を上限に修学旅行の費用を区が負担し、事実上無償化する。いずれも所得制限なし。中学生とのタウンミーティングで挙がったよりおいしい給食の要望を受け、区立学校給食は全ての野菜に有機農産物・特別栽培農産物を使う。朝の時間帯に児童が過ごせる場所を体育館や図書館などに設置し、無償で朝食支援を行う。小中学生がいる区内の子育て世帯を対象に米を配布する「子育て世代へのお米支援プロジェクト」は、対象を高校生まで拡大する。
「生きづらさをなくし住み続けられるやさしい社会をつくる」施策では、高齢者の見守りや生活支援サービスを所得制限なしで無償化し、高齢者や障害者など住宅確保要配慮者の居住支援の拡大などに取り組む。放課後等デイサービスなど障害児向けサービスの利用料の所得制限なしでの無償化、区独自給付金による実質ひとり親家庭への支援なども行う。
「未来に希望の持てるサステナブルな社会をつくる」施策では、区民の声を区政に反映するデジタルプラットホームの導入に加え、子育て中や非正規雇用の女性求職者を対象としたIT・デジタル人材の支援を発表。荏原地区では、利用者の予約に応じてAIを活用した効率的な配車を行う予約型乗り合いタクシーの実証運行を行う。
森澤恭子品川区長は「変化が激しく先行きの見えない社会の中で、考えうる不安をできるだけ取り除くのが行政の役目。全ての人が直面する、あるいは使う必要がある基礎的なサービスは、できるだけ公費負担で提供していきたい」と話す。