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品川区が2023年度予算案を発表 新区長初年度は子育て支援に注力

2023年度当初予算案を発表する森澤恭子区長

2023年度当初予算案を発表する森澤恭子区長

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 品川区が2月2日、2023年度当初予算案を発表した。

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 会計予算の区分とその2022年度比は、一般会計(歳入)が1,987億9,400万円で5.1%増、国民健康保険事業会計が362億3,048万円で3.8%増、後期高齢者医療特別会計が101億5,599万2,000円で5.7%増、介護保険特別会計が277億5,400万3,000円で1.7%増。災害復旧特別会計は15億円で増減なしとした。

 再選挙の末、昨年12月に当選した森澤恭子区長は「深刻な少子化の現状を捉え、子育て支援を最重要政策に挙げる。品川区の子育て支援をトップレベルの水準にしたい。そのほか、高齢者および障がい者支援、経済と環境を両立するSDGs政策、区民と進める区の運営など、全部で4つの分野を重点政策に掲げる」と話す。

 子育て支援策として、第2子の保育料、区立学校に通う全児童・生徒の給食費、高校生までの医療費を、4月から無償化する。いずれも所得制限は設けない。0歳児を育てる家庭を見守り、保護者の精神的・経済的負担の軽減を図る「おむつ宅配定期訪問」事業も始める。保護者の就労状況にかかわらず、未就園児を週1、2回定期的に保育所等で預かる、新たな預かりモデルにも対応する。森澤区長は「子育て家庭の孤立を防ぐとともに、待機児童問題や地域の子育てインフラのあり方も考えていく」と話す。

 教育分野では、学校内で起こったトラブルの相談体制を強化し、教職員の負担軽減を図る。特別支援教育の推進を所管する組織を新たに設置し、モデル校としてすでに発達障がい教育支援員を配置している5校に加え、新たに小学校・義務教育学校前期課程10~15校にも配置する。

 福祉分野では、加齢性難聴を患う高齢者へのサポートとして、補聴器の購入費の助成や耳の聞こえ方に関する啓発活動を実施。東京大学先端科学技術研究センター・障害者就労支援センターと連携し、長時間働くのが難しい精神障がいや発達障がいがある人を中心に、超短時間就労の機会を提供する。さらに、2025年デフリンピックの東京開催に先立ち、聴覚障がいへの理解促進や共生社会の実現に向けたイベントを開く。

 新型コロナウイルス感染症の対応では、希望者への速やかなワクチン接種体制の整備や療養支援に務める。また、これまでの施策の検証として、関係者への聞き取りや医療従事者との意見交換を行い、改めて課題を洗い出して健康機器管理体制の構築を図る。

 このほか、東京都パートナーシップ宣誓制度の開始を受け、受理証明書を持つカップルに対して公営住宅への入居や軽自動車税種別割の減免などを4月から始める。災害対策では、都内初の試みとして、災害時のスムーズな物資提供を行うため、民間事業者との連携や民間倉庫の活用などを進める。環境分野では、モデル地区でプラスチック製品の資源回収を開始。観光分野では、目黒川や京浜運河を利用した新たなクルーズ事業を行う。

 地域経済の振興策として、商店街の活性化を図るため引き続き「プレミアム付き共通商品券」を発行する。企業や区と連携して課題解決に取り組み、持続可能な商店街を構築する。

 羽田空港新飛行ルートに関する設問など、区民の声を区政運営に反映するため、15歳以上の区民を対象としたアンケートを行う。15歳未満の児童・生徒には別途アンケートを用意する。また、現庁舎跡地の活用を進めるため、区民参加型の跡地活用検討委員会を新たに設置。行政評価は、事務事業評価の対象を全事業に拡大する。

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