品川区は4月より、区内建築関係団体と日大理工学部の3者共同で開発した「品川シェルター」の普及を本格化させた。
同シェルターは、建物の外壁もしくは内壁に木製の枠組みを取り付けて補強する耐震シェルター。格子状の木材が地震発生時の横揺れを吸収することに着目し、家の土台部に伝わる振動を減少させる仕組みになっている。工期は6畳の内壁設置の場合、1~2日を想定。
品川区が2005年から紹介を行っている東京都が指定したメーカーのシェルターは、室内に小さな部屋を設置したり、ベッドをアーチ型の天蓋で囲ったりするタイプが中心。「使い勝手が良くない」という声もあり、ほとんど活用されていなかったという。そこで、昨年から3者で協議を行い独自の開発を進めた結果、東京都都市整備局の評価委員より「耐震改修工法・装置」のアイデア部門に選定された。
また、区は昨年から都指定の耐震シェルター設置支援を開始。1981(昭和56)年以降に設置された2階建て以下の木造住宅に住む低所得世帯や高齢者などに対して、1件あたり30万円を限度に助成する。「品川シェルター」も同制度と同様に助成の対象となる。
品川区防災まちづくり事業部の吉川広さんは「品川シェルターの補強期間はおよそ10年。完全な地震対策とは言えないが、金銭面などの理由で建て替えが難しい場合の一時的な安全対策として利用してほしい。今後は認知度を高めていきたい」と話す。