新馬場駅近くの荏原神社(品川区北品川2)のカンヒザクラ(寒緋桜)が開花し、参拝客に一足早い春の訪れを告げている。
同神社は709年に創建され、品川の龍神として源氏や徳川など多くの武家の信仰を受けてきた。毎年6月には、牛頭天王(ごずてんのう)を祭る「天王祭」が開かれる。東海七福神の一社として恵比寿神を御祭神とし、年始には東海道七福神巡りに訪れる参拝客の姿も見られる。
境内にある2本のカンヒザクラは、区内で一番早く咲く桜として地域住民に親しまれている。カンヒザクラには、ヒヨドリやメジロ、シジュウガラなどが花をついばむ様子も。1月20日・21日の週末は、多くの通行人が思わず立ち止まりながら花見をしたり撮影したりしていた。
カンヒザクラは台湾や中国南部が原産地。日本では鹿児島や沖縄を中心に自生している。鮮やかな緋紅色(ひこうしょく)の花が鐘状に下向きに咲く。ヒカンザクラ(緋寒桜)ともいわれるが、ヒガンザクラ(彼岸桜)と間違われることから、カンヒザクラと呼ばれることが多い。
近所に住む女性は「毎年、花が咲くのを楽しみにしている。まだまだ寒いが、見ているだけで温かい気持ちになれる。雪や雨に負けず、少しでも長く保ってもらえるとうれしい」とほほ笑む。
同神社の担当者は「今年の冬は暖かい気候のため、例年よりも少し早い開花となった。もう少しで満開になる。と話す。「カンヒザクラは咲いてからが長いサクラ。本日の大雪で花びらが散ってしまうこともないと思うので、2月中旬まではサクラの名残をお楽しみいただけるのでは」とも。