西小山駅近くの銭湯「東京浴場」(品川区小山6、TEL 03-6421-5739)で5月12日から、喫茶店「隣町珈琲(カフェ)」(中延3)と出版社「ミシマ社」(目黒区)との期間限定コラボフェア「はだか書店」が始まった。主催は東京浴場。
廃業する銭湯の運営を引き継ぎ、持ち主に家賃を支払う「銭湯代行業」を手掛けるニコニコ温泉(静岡県)が経営する同店。休憩スペースの中央に2階建ての巨大本棚を据え、約7000冊の漫画や絵本を並べる。
コラボフェアの開催は、企画発案者で東京浴場運営スタッフの本田祐也さんが「隣町珈琲」店主で文筆家の平川克美さん著「『消費』をやめる 銭湯経済のすすめ」を読んだことがきっかけ。企画を思い付き、「同店に足を運んでコラボをお願いした。平川さんはその場で版元の『ミシマ社』に電話を掛けてくれ、イベントが実現した」(本田さん)という。
東京浴場のフロント前にある古いロッカーを活用し、期間限定の「はだか書店」としてミシマ社の書籍を販売する。「小商いのすすめ: 『経済成長』から『縮小均衡』の時代へ」をはじめとする平川さんの著書や、隣町珈琲が制作・発行する地域文芸誌「mal"(マル)」なども。本田さんは「本は主に書店かネット書店で販売されるため、本に興味のない人には遠い存在ではと感じていた。銭湯は生活の中に組み込まれた施設なので、触れてもらうにはピッタリの場所」と話す。
販売台として使うロッカー12カ所の扉には、「笑いたいときに」や「人生に迷ったら」などのメッセージを貼り、扉を開けるとミシマ社が選んだ「その時の気分に合わせた本」が並ぶ。何の本を読んだらいいのかわからない人向けに、お薦めの本のタイトルが書かれた「本のおみくじ」も用意する。
浴場では、「隣町珈琲」のコーヒー粉を使う「コーヒー風呂」を開催する。17日まで。フェア期間中は平川さん書き下ろしの詩「銭湯賛歌」の展示も。
「隣町珈琲」店内では、ミシマ社の書籍を中心とした「はだか書店」棚の設置するとともに「隣町珈琲詩集展」を開催。期間中に東京浴場と隣町珈琲それぞれに来店してフライヤーにスタンプを集めた人にはだか書店限定タオルを進呈(先着60人)する。
「開催前は、銭湯の利用客が本を手に取ってくれるのか不安だった。しかし、イベント初日から多くのお客さんに本を購入してもらい、『よくこんな企画を思いついたね。すごく面白い』といった声ももらった」と本田さん。「このイベントが生活に本を添える手助けになればうれしい。できれば継続的に開催したい。地域のコミュニティーの一員として、連帯感を高めていきたい」と意欲を見せる。
「はだか書店」は6月14日まで。営業時間は5時~8時、14時~翌2時。料金は、大人(12歳以上)=470円、中人(6歳以上12歳未満)=180円、小人(6歳未満)=80円。