北品川・旧東海道沿いの「クロモンカフェ」(品川区北品川2)が店舗下の1階物件にマルシェスペースを開設して2カ月がたった。
「クロモンカフェ」店主の薄葉聖子さんは、2009(平成21)年に品川神社(北品川3)で始まった「品川てづくり市」の中心メンバー。同年にオープンしたクロモンカフェでは現在も子ども食堂の運営を続けるほか、新型コロナウイルス感染症の流行によって休校が相次いだ2020年春には、子どもが地域の店に立ち入りやすいよう各店が協力してサインを掲げる「黄色いてるてる坊主」の取り組みを発案した。
マルシェスペースは、2020年末に移転・閉店した「アトリエパレット」ショールーム跡を活用する。
現在、ハンドメイド作品や物産品などの出店者を募り、「クロモンマルシェ部」として活動している。薄葉さんは「『品川てづくり市』は東日本大震災をきっかけに終了となってしまったが、その後も当時の参加者との縁は続いてきた。北品川の街おこしに理解を示してくれる作家や販売者がたくさんいる」と話す。「立地の良い角地の1階物件が空き店舗のままではもったいない。商店街を散策する方を迎える小さなマルシェなら仲間と一緒にできるのではと考え、周囲に呼び掛けてスペース開設に至った」とも。
同スペースではこれまでに、無農薬野菜を販売する「自然のまんまマルシェ」、与那国島・沖永良部島の物産を販売する「島マルシェ」、中延・昭和通り商店会のキャラクター「しょうちゃん」や「クロモンカフェ」のふすま絵などを制作する深澤ユリコさんの作品展示、イラストや雑貨、食品などを販売する「SLOWMARKET KUROMON」などを開催してきた。「ただ物販店が並ぶ商業的な催しではなく、出会いやほかの地域との結び付きが生まれる場にしていきたい。たとえば商品をきっかけに、その土地や農家、畑にも興味を持ってくれたらうれしい」と薄葉さん。
7月は、17日に「SLOWMARKET KUROMON」の、22日から25日までビアガーデン企画の、31日に落語会「品川落語 笑門・小もん・黒門#1」の開催をそれぞれ予定。「クロモンマルシェ部」への出店希望者は、公式インスタグラムやフェイスブックに掲載するメールアドレスから随時受け付ける。
「こだわりの品を手渡しで販売するのがマルシェの面白さ。街おこしとして私たちができることはささやかで、商店街の店を直接増やすような活動は難しいが、北品川が好きな人たちに外から集まってもらい、一緒にもてなすことはできる」と薄葉さん。「ぜひ街歩きに北品川に来て、買い物やお茶を楽しんでほしい。『クロモンマルシェ部』の前を通りがかったら、ぜひ立ち寄って」と来店を呼び掛ける。
同スペースの運営は現時点で年末までを予定する。活動しながら、翌年以降の継続に向けて考えていく見通し。現在は週末中心の開催だが、「今後は平日の開催も視野に入れていきたい」とする。