「福澤諭吉記念 慶応義塾史展示館」(港区三田2、TEL 03-5427-1200)が7月5日、慶応義塾大学三田キャンパス内の慶応義塾図書館旧館にオープンした。
慶応義塾図書館旧館は1912(明治45)年、慶応義塾大学創立50年記念の寄付金によって建てられた。設計は曽禰(そね)達蔵と中條(ちゅうじょう)精一郎で、国の重要文化財に指定されている。
同展示館では、実物を中心とした歴史的資料の展示を通して福澤諭吉の生涯と慶応義塾史を発信。「日本と世界の近代化の歩みを見つめ直し、未来を考える場」を目指す。同大学では、美術品展示を中心にIT活用を目指す「慶応義塾ミュージアム・コモンズ(通称:KeMCo)」を4月に開設しており、両施設が連携する展示も予定している。
1階にはカフェ、2階には常設展示室と企画展示室を設ける。展示室の空間デザインは槇総合計画事務所(渋谷区)。展示室の床面積は、それぞれ約85坪と約18坪。
開館の経緯について、副館長の都倉武之さんは「歴史展示館を作る構想は何十年も前からあったが、2年前に完工した免震化工事がきっかけで旧図書館を活用することになった」と話す。
常設展示は、福澤諭吉の遺品や「早慶戦開始時の挑戦状」など約150点の資料を基に4章立てで構成する。タッチパネル式のデータベースギャラリー「社中Who’s Who (しゃちゅう フーズフー)」などのデジタルコンテンツもある。
現在は、開館を記念する企画展「慶応四年五月十五日―福澤諭吉、ウェーランド経済書講述の日」を開催中。旧幕府軍と新政府軍の戦闘による砲撃中でも福澤が普段通りに授業を続け、洋学を後世につないだという当時の逸話を紹介する。9月11日まで。
併設のカフェでは、「発酵バタートースト」(450円)やカレー「コルリ」(1,200円)、「チョコレートサブレ」(350円)、ブレンドコーヒー(450円)、カフェオレ(750円)、ロイヤルミルクティー(900円)などを提供する。オリジナルグッズも販売する。
今後の展望について「年に2回程度の企画展を考えている。現在は新型コロナウイルス感染症対策のため予約制にしているが、状況を見て緩和していきたい」と都倉さん。「福澤諭吉・慶応義塾の歩みを通して、日本の近代史に触れられる施設。展示を通して考えを深め、現代の問題を解決するヒントが見つかる場になれば」と笑顔を見せる。
開館時間は10時~18時。日曜・祝日休館。入場無料。新型コロナウイルス感染症対策として、入館者にアルコール消毒や検温を実施するほか、ホームページで事前予約を受け付ける。