北品川の旧東海道沿いにある「クロモンカフェ」(品川区北品川2)で取り組む「クロモンこども食堂」が1月19日、開催200回目を迎えた。
「子ども食堂」は地域住民や自治体が中心となり、無料または低価格で子どもたちに栄養のある食事や団らんを提供する社会活動。「クロモンカフェ」店主の薄葉聖子さんは、2015(平成27)年9月に同活動を開始。週1回、高校生までの子どもを対象に1食200円で夕食を提供するほか、月2回は大人=500円を支払えば親子で利用できるファミリーデーを設けてきた。2020年4月以降は新型コロナウイルス感染症の影響で休止していたが、これまでに199回開催。延べ子ども4180人、大人2034人が利用した。
子ども食堂を始めたきっかけについて、薄葉さんは「世の中にはさまざまな問題を抱えた子どもたちがいることを子どもの孤食についての新聞記事で知った。そうした子どもたちに温かいご飯をお腹いっぱい食べてほしいという思いから、居場所づくりを始めた」と話す。
子ども食堂の休止後は、さまざまな企業や近所の飲食店、団体から食材を集めて、必要としている家庭に届ける「フードパントリー」を開始。月2回のペースで計46回配布したという。
「クロモンカフェ」は、入居している建物が老朽化により解体されることになったため、1月22日で閉店する。今回、区切りとして200回目の「クロモンこども食堂」開催を決めた。
当日は薄葉さんの計らいで、全員無料。新型コロナウイルス感染症対策として、予約制で人数を制限し、1部屋あたり8人程度に抑えた。19時ごろには子どもたちや親子連れで席が埋まり、約30人以上が利用した。
メニューは「煮込みハンバーグ」と「ゆでマカロニ」、「生野菜のサラダ」、「あおさ入り卵焼き」、「なすとピーマンのしぎ焼き」、「ハムカツ」、「もやしのナムル」、「もちもち玄米」、「豆腐とわかめのみそ汁」で、2、3回お代わりをする子どもの姿も見られた。最終回の記念として、子どもたちが壁にメッセージを書いたり、薄葉さんが関係者から「フードパントリーではお世話になった」と花束を贈られたりする場面もあった。
5年近く子どもと通ったという東山志帆さんは「仕事で帰りが遅い時でも、子どもたちの居場所があるのは安心だった。みんなで集まれる場所がなくなってしまうのは寂しいが、最後に足を運べてよかった」と話す。以前、子どもスタッフとして活動を手伝っていた金田丞正さんは「コロナ禍で開催がなかったので、久しぶりにうーさん(=薄葉さんの愛称)と会えてうれしかった。楽しい場所だったので、なくなるのは悲しい」と話す。
「クロモンこども食堂はいったんお休みになってしまうが、今後も食材やお弁当を家庭に届けるフードパントリーなどの活動を通して、子どもたちへの支援は続けていく」と薄葉さん。「子どもたちが元気よく、ご飯をモリモリ食べる姿を久しぶりに見てエネルギーをもらえた。いつの日か、子ども食堂を再開することを目標に頑張っていく」と笑顔を見せる。