文具メーカーのコクヨ（大阪市）が運営する集合住宅「THE CAMPUS FLATS TOGOSHI（ザキャンパスフラッツ トゴシ）」（品川区戸越6）が9月1日、戸越公園駅前南口商店街沿いにオープンした。

1人用居室

　物件は、同社社員寮だった建物を改装して利用する。地上5階、地下1階。敷地面積は約480平方メートル、延べ床面積は約1470平方メートル。

　同社品川オフィスを全面改装して2021年に開業した施設「THE CAMPUS」（港区港南1）に次ぐ事業として、FLATS TOGOSHIは「プロトタイプする暮らし」をコンセプトに掲げる。「普段の生活の中で、いつかやりたかったことを気軽に試せる暮らし方」を提案するとして、個人開催のイベント利用を想定した有料スペースを賃貸住宅に併設する。

　2021年6月にプロジェクトを始動し、2022年8月に戸越での開業が決定。2023年初頭に社員寮の改装を着工した。コクヨ社員で同事業プロジェクトリーダーの荒川千晶さんは「自社で保有する物件がありつつ、商店街が近いことやアクセスの良さなどの条件から戸越に決まった」と話す。

　賃料は月額7万7,000円（11.6平方メートル、トイレ・シャワーなし）～で、水道・光熱費・ネット通信費・管理費は月額2万円。計39戸で、シャワー・トイレ付きの居室や2人用居室など5タイプ。各部屋には、コクヨグループで家具販売事業のアクタス（新宿区）が取り扱う家具を備え付ける。入居者は共用キッチンやシャワールーム、家電や食器などの備品を利用できる。部屋は住居兼事務所として利用することや、登記も可能（事務所のみの利用は不可）。

　有料スペース（30分550円～）は、フィットネス用のスタジオや飲食店営業許可付きのキッチンブースなど、8タイプを設ける。個人によるイベントや教室の開催を支援し、近隣住民との交流も促す。「趣味以上プロ未満の、何かを提供・発信したい人がターゲット。入居に向けては説明会や面談を設け、プロジェクトに共感する人が集まるようにしている」と荒川さん。入居者以外の利用も可能。

　開業時点で、39戸中29戸の入居が決まっている。入居者の年齢層は20～50代、職種は会社員のほかフリーランスのクリエーターや経営者など。コクヨ社員も入居するという。

　1階には入居者以外も利用できるフードスタンド「THE CAMPUS STAND」を併設する。席数は12席。ピザトーストのメニューは、「トリプルチーズのマルゲリータ」（580円）、「喫茶店のナポリタンピザ」（630円）、「エビとブロッコリーのクリームピザ」（660円）など。ドリンクメニューは、ブレンドコーヒー（460円）、「クラフトコーラ」（660円）、「有機ジンジャーエール」（770円）、「クラフトビール」（1,000円～）など。営業時間は10時～17時（金曜・土曜は22時まで）。

　イベント開催に向けたアドバイスや、入居者と近隣住民との交流をサポートするコミュニティーマネジャーの並木江梨加さんは、「ここで『プロトタイプする暮らし』を体験した人が外に出て開業し、また新しい人が入ってくるといった循環を想定している。FLATS卒業生のコミュニティーを広げていけたら。商店街の会長ともコミュニケーションをとっており、今後は地域のイベントなどでも交流を生んでいきたい」と意気込む。