制作:品川経済新聞編集部
「新たな門出や心機一転といった祝福の意味合い」が込められたヨットや、端午の節句を祝う兜飾り。細部に至るまで職人の手仕事が行き届いていて、その緻密な伝統美には思わず見惚れてしまいます。
こちらの作品を制作・販売しているのが、中延に本社と工房を構える関工芸株式会社。先に紹介したヨットや兜のような「東京銀器」の魅力を、現代に伝える企業のひとつです。
「東京銀器」とは、江戸時代中期、銀師(しろがねし)と呼ばれる銀器職人や、櫛・かんざし・神輿金具を作る金工師と呼ばれる錺(かざり)職人たちが作り上げてきた伝統文化です。
1979年には国の伝統工芸品に指定され、2018年には品川区の「社会貢献製品」としても認定を受けました。近年では海外企業への贈り物としての需要も高まっています。
関工芸株式会社は、「現代を生きる伝統工芸」をテーマに、1936年の創業以来、人々の生活に寄りそう金属工芸品を届けてきました。
作品はすべて職人さんたちが一つひとつ丁寧に作ったもの。創業者である工匠・初代関武比古の「貴金属美術工芸品を、ひろく人々に」という思いを二代目・関武比古が受け継ぎ、現在では二代目の後継者が三代目・武比古として活動を続けています。
実際の制作風景を見学させていただきました。こちらの職人さんは56年間銀職人一筋。
まずは銀の板を打ち伸ばして成形する鍛金作業から。力加減を調整しながら理想の形になるまで何度も作業を繰り返します。
成形したあとは表面を磨きます。まずはヤスリで表面を削り、次にキサゲで傷をこそいで、デコボコを平坦にしていきます。その後は炭を使って細かく表面を整えて、鏡面加工の準備。砥石で仕上げ、布で磨きあげたら完成です。こうした緻密な作業を経て、曇りひとつない美しい銀製工芸品が出来上がるのです。
職人さんは「銀はデリケートな素材なので慎重さが肝要です。柱銀の棒の先端を、飾り擬宝珠(ぎぼし)に加工するなど、細かい部分もすべて自分たちで作り上げ、皆さまに喜んでいただけるような作品作りに心血を注いでいます」と、作品に対する思いを語ってくださいました。
「時代の変化に伴い、消費者に求められるものも変わってきたように感じています。生活様式も変わっているので、今の時代に合わせて、これまでアプローチしたことのないジャンルにも挑戦し、見せ方を変えていくのが課題ですね。皆さまに『これが欲しかった』と言ってもらえるような作品をこれからも作り続けていきます」と関工芸のみなさん。
社内にはこれまで制作した金銀製置物やレリーフなどの貴金属工芸品のギャラリーを併設しています。職人の技術の粋を結集した、美しい工芸品を間近でじっくりと鑑賞できますよ。自宅での観賞用はもちろん、大切な人の晴れの門出に贈り物に何を贈ろうか迷っている人はぜひお立ち寄りくださいね。
●品川区社会貢献認定製品事業とは
品川区社会貢献製品とは、品川区が区内中小企業の優れた自社技術・製品・サービスで社会に寄与するものを認定するもので、2018年(平成30年)度から実施しています。認定製品は、品川区等で積極的に試験導入されるなど区による販路拡大支援を受けられます。
2018年度は12社13製品が認定されました。
■品川区社会貢献認定製品事業 PR記事