制作:品川経済新聞編集部
普段はあまり気に留めない身の回りの製品。その中には、品川区生まれのすごい技術も隠れているのだとか。今回は、貼紙防止効果を持ちながら、鮮明な画像印刷のできる「プリントシート」を開発した株式会社ニッソクと、「光るピンバッチ」を開発した株式会社新栄スクリーンに話を聞いてきました。
普段、あまり気にとめることがない街路灯。今、品川区中延にある昭和通り商店街には、こんな街路灯が並んでいます。
こちらの、なんだか気になるキャラクターの正体は、昭和通り商店会のキャラクターのしょうちゃん。インパクトのある街路灯が、商店街をパッと華やかにしてくれています。
近づいてよーく見てみると、表面に謎の凹凸があります。他ではあまり見たことがないこれは一体? 実は、この凹凸には理由があるんだとか。このシートの開発・販売を手掛けた、品川区戸越にある1962(昭和37)年創業の株式会社ニッソクを突撃しました。
このシートの正式名称は「プリントシート」。壁や床にも設置でき、地域のprや災害時の避難場所案内などにも活用されています。
お出迎えしてくれたのは、ニッソク取締役の原田明美さん。「設置後は『なんだか街が明るくなって、楽しいわね』と商店街の方が声をかけてくださることも。地域がにぎやかになるお手伝いができるのはうれしいですね」とお話いただけました。
早速ですが、昭和通り商店街の街路灯に設置したシートがデコボコしているのにはどんな理由があるのでしょう。
渡されたのは、2枚のテープが貼られたシート。左側はつるつる、そして右側には凹凸があります。
「まず左側の粘着シールを剥がしてみてください」と原田さんの指示に従って、左側のシールを剥がそうとしても、端っこが少し持ち上がるだけで、なかなかシール全部を綺麗に剥がせません。
「次に、右側を剥がしてみてください。どう? 全然違うでしょう」と、原田さんがお話しするように、凸凹の上に貼られた右側の粘着シールは、つるんと簡単に剥がれました。実はこの凹凸は、昭和通り商店街の街路灯に使われているのと同じ「プリントシート」。万が一電柱に張り紙を貼られても、簡単に剥がして綺麗にできるそう。
さらに、この「プリントシート」の優れているところは、印刷の鮮明さ。
写真上がプリントシートに使われている特殊加工を施したもので、写真下が普通にプリントをしたシートです。プリントシートなら、鮮やかに発色するだけではなく、印刷内容を長く保てるのだとか。
「せっかく広告を出しても、色落ちしちゃったら、読めなくなって意味がないでしょう。当社が開発した『プリントシール』なら、何年経っても色落ちせず、綺麗な状態は変わりません」
現在、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会の紹介広告も出しています。細かな文字も鮮明に印刷できるので、長期間しっかりと読むことができます。
さらに、簡単にプリントシートを取り付けられるよう、結束バンドを使った「楽プリシート」を開発(写真右)。これで、専門業者へ依頼せずとも、誰でも簡単に設置できるようになりました。
昭和通り商店街への導入後、区内の他の商店街からも声がかかり、取り付けを行ったそう。今後の展望については「防災面での活用など、さらに幅広く使用用途を広げていきたいですね」と原田さん。さらなる活躍が期待されます。
これは、品川区内で開催されるオリンピック・パラリンピック競技の応援キャラクターたちが描かれたピンバッチ。実はある仕掛けが施されています。
ピンバッチの裏側のスイッチを押すと、五輪カラーに合わせた、青・黄・白(黒色の代わり)・緑・赤色に2秒ずつ光ります。品川区の認知度アップを図るためのこのバッチは、2020年オリンピック・パラリンピックに参加するボランティアの方に配布する記念グッズになる予定です。
こちらのピンバッチの制作を手がけたのは、品川区西五反田にオフィスを構える新栄スクリーン。代表の鈴木正宏さんにお話を伺いました。
1974(昭和49)年創業の新栄スクリーンは、スクリーン印刷技術に、ほかの様々な技術を組み合わせ、他社にない独自製品を開発してきました。
例えば、灯籠流しで使われる「水に溶ける紙灯ろう」も、開発製品の一つ。一般的な灯ろうでは、真っ暗な中ではロウソクの炎の色でしか光りませんが、開発製品の特徴はロウソクの波長に合わせた印刷技術を施すことにより、ロウソクを灯すと4色(ピンク・ブルー・イエロー・グリーン)のやわらかな明かりが水面に浮かびます。
また、川用と海用は別のタイプになっており、紙が水に溶ける時間の調整も可能です。
スクリーン印刷技術を事業の軸としているため、各催事やイベントに合わせた灯ろうへの文字入れなどの印刷もお願いしやすいのもポイントのひとつ。製造と販売の両方を手掛ける新栄スクリーンならではです。現在は、海外からの発注も増えてきています。
今回は、LEDを光源とする実装基盤技術とスクリーン印刷技術を組み合わせ、光るピンバッチを開発しました。
大きな特徴は、ピンバッチの側面からLEDの光を当てていること。
他社製品の多くは、ピンバッチの後ろからLEDを当てているため、光が直接目に入り、目に負担がかかってしまいます。一方、側面から照せば目に優しく、さらに絵柄を邪魔せずに、バッジを光らせることができます。
こちらのピンバッチがきっかけに、現在、立会川龍馬通り繁栄会のマスコットキャラクター「りょうくん」を使った、ピンバッチの制作も進んでいます。
ピンバッチを見せると商店街で割引サービスが受けられるなど、活用を考えているそう。どんな製品になるのか、出来上がりが楽しみです。
●品川区社会貢献認定製品事業とは
品川区社会貢献製品とは、品川区が区内中小企業の優れた自社技術・製品・サービスで社会に寄与するものを認定するもので、2018年(平成30年)度から実施しています。認定製品は、品川区等で積極的に試験導入されるなど区による販路拡大支援を受けられます。
2018年度は12社13製品が認定されました。
■品川区社会貢献認定製品事業 PR記事