品川区は3月16日、新型コロナウイルス感染症の影響で経営状況が悪化した品川区内の中小企業からの問い合わせが500件を超えたことを明らかにした。主な相談内容は、国や自治体の融資制度について。
「令和二年新型コロナウイルス感染症」は3月2日、中小企業信用保険法に基づくセーフティネット保証制度4号認定の対象事由に指定された。4号認定とは、突発的災害(自然災害など)の発生によって、売上減少や業績不振に陥った中小企業者への支援を認めるもので、同保証制度は全国の自治体で適用され、借入債務の100%を信用保証協会が保証する。一般保証とは別枠で行い、返済が滞った場合は、信用保証協会が企業に代わって債務の支払いを行う。
対象となるのは、3カ月以上継続して事業を行う中小企業。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で、最近1カ月間の売上または販売数量が前年同月比20%以上減少し、その後2カ月を含む3カ月間の売上高、または販売数量が前年比20%以上の減少が見込まれることが認定の条件となる。
品川区はセーフティネット4号認定、または特定業種限定で借り入れ債務セーフティネット5号認定を受けた企業に対して、限度額2,500万円の「経営支援資金」と3,000万円の「経営安定化資金」の2種類の融資を用意する。
このほか、昨年10月の消費税増税に合わせて用意した品川区中小企業事業融資あっ旋「経営変化対策資金」を今回の支援に適用する。使途は運転資金で、最大500万円。3年間は無利子、4年目以降の負担率は0.2%。返済期間は5年以内で、利子のみを返済する据置期間は12カ月。
同融資あっ旋資金の対象は、品川区に住所を有し、常時雇用する従業員が20人以下の中小企業。東京信用保証協会の保証対象業種で、同一事業を引き続き1年以上営んでいること。認可などが必要な業種であれば、それらの手続きを終えており、税金を滞納していないことが条件となる。業種は問わない。
品川区の商業・ものづくり課中小企業支援係の牧野あゆみさんは「当初は飲食業やサービス業が中心だったが、3月中旬からは製造業やITなど、さまざまな業種の方から当座の資金繰りについてお問い合わせいただいている。特にセーフティネット保証制度4号への問い合わせが多く、3月16日時点で90社以上を認定した」と話す。「緊急資金の受付期間は3月末までの予定だったが、春以降へ締め切りを延長できるよう調整中」と今後の方針を明かす。
品川区は、中小企業診断士の資格を有する品川区商工相談員による無料経営相談窓口も設置している。区だけでなく、東京都が実施する支援などについても横断的なサポートを行う。面談は電話による事前予約制。
問い合わせは、品川区の商業・ものづくり課中小企業支援係(品川区西品川1、TEL 03-5498-6340)まで。3月は相談窓口受付時間を9時~20時に延長している。