精神・発達障がい者向けの自立訓練(生活)事業所「品川宿」(品川区戸越5、TEL 050-3702-0047)が戸越公園中央商店街にオープンして1カ月がたった。経営は一般社団法人まるまる荘(同)。
場所は「戸越公園内科クリニック」隣。施設面積は1階=約56平方メートル、2階=約54平方メートル。1日の利用者は20人まで。
所長の三塚澄枝(みつか・すみえ)さんは学生時代から保育・福祉を学び、重度心身障がい者施設や就労継続支援B型事業所への勤務を経て、障がい者雇用のコンサルティング業務を経験。一時期は取締役を務めたものの「現場」を重視し、社会福祉法人や就労支援センターに勤務した経歴を持つ。
開所経緯について、三塚さんは「障がい者福祉の業界で働き続けてきた中で、当事者の方々が自己理解する余裕もないまま、就職をせかされる状況に違和感があった。就職以前に人間関係や生活基盤を整える基地としての事業所づくりを思い立ち、地域とのつながりが密接な立地を探していたところ、商店街の中にあるこの物件を見つけオープンに至った」と話す。
利用対象者は、18歳以上の障がいのある人。障がい者手帳がなくても利用できるが、医療機関への通院が前提となる。基本的に利用無料で、前年の収入によっては有料になる場合がある。
通所期間は2年間。利用者は支援員と相談しながら、金銭管理や調理実習などを行う「生活プログラム」、外部の看護師や理学療法士、ヨガ講師を招いた「健康プログラム」、粘土で造花作りを楽しむ「やる気の活動」などを通して、自立した社会生活の確立を目指す。個々の特性に合わせたプログラム編成で、無理のないペースで活動に参加できるように工夫するという。
1階はフローリングのスペースを設け、入って右側の壁は全面鏡張りで、ヨガ教室などに利用する。奥には畳張りの休憩室を用意した。「体力的に毎日長時間通うのが難しい方もいるはず。まずは、1日数分でも顔を見せに来てくれればいい」と三塚さん。
「『手帳がない場合はどうしたらいいか』など、どんな相談でも取りあえず声を掛けてほしい。対応可能な機関を紹介するなど、できる形でサポートしたい。診断を受けていない方に対しても、福祉サービスの入り口として機能できれば」と三塚さん。「今後の展望としては、より地域に愛される魅力的な場所になること。利用者に自宅でパン作りをするためのライセンスを取得してもらい、教室を開いてみたい。お子さんをお持ちの方、ご高齢の方などを招いて地域交流の場になれれば」と笑顔を見せる。
営業時間は9時~17時 (利用者が滞在できる時間は9時30分~16時)。土曜・日曜・祝日定休。新型コロナウイルス感染症の対策として、入り口に消毒液を設置。履物の屋内持ち込みをせず、利用者はマスクを着用して検温する。