武蔵小山駅近くの中屋パン粉工場(品川区小山4、TEL 03-3781-5915)が黒パン粉「GOD SPEED YOU! BLACK PANKO(ゴッドスピードユー ブラックパンコ)」の製造を始めて1カ月がたった。
1948(昭和23)年創業の中屋商店を前身に持つ同工場。パン粉専用のパン製造とパン粉販売を一貫して行う都内唯一のパン粉製造工場で、3代目社長の中林正一さんと、弟で工場長の中林良太さんで運営する。オーダーメードにも対応し、とんかつ店やフレンチレストランなど全国650店舗以上の飲食店にパン粉を販売している。
黒パン粉は、竹炭を練り込んで黒くしたパンを粉状に砕いたもの。写真映えと独創的な料理を望む料理人から引き合いがあるという。5年前から開発を始め、昨年10月24日に商品として完成。2月26日から「黒豚トンカツ さつまや とんとん」(目黒区)で本格的に取り扱いが始まった。
製造の経緯について、正一さんは「きっかけはお客さんからの依頼。需要に応えるために試作を重ね、ようやく軌道に乗せることができた。通常の製造ラインとは別に手作業の比率を高め、設備投資も行うなど、コロナ禍で生まれた時間を使って開発を進めた」と話す。
商品名は、ハードコアやパンク、ポストロックなどの音楽ジャンルが好きな正一さんの意向で「GOD SPEED YOU! BLACK PANKO」と命名。由来はカナダのバンド「Godspeed You! Black Emperor」から。「好きなバンドの元メンバーがドーナツ屋を開いた際、パンクバンド名をもじった商品名がかっこよかったから」と正一さん。商品ロゴはバンド「Black Flag」のロゴをオマージュしたという。
正一さんは「先代も兄弟で工場を経営し、当代の私たちも兄弟でパン粉製造に取り組んでいる。先代の作り出したパン粉に自分たちのテイストを加えて出来上がったのがこの黒パン粉。新しい食材を手に入れた料理人がワクワクするようなパン粉づくりをこれからも続けていく」と話す。
良太さんは「作る以上は見た目だけでなくしっかりおいしいものを届けたい。今まではあくまで食材の一部だったパン粉を、日常に寄り添う食べ物の域にまで昇華させたい」と意気込む。
黒パン粉の販売は企業や店舗向けで、一般家庭用の小売は行わない。問い合わせや注文は公式サイトで受け付ける。