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中延のシューマイ店「丸田商店」閉店へ 創業54年、地域住民が感謝メッセージ募集

2月中に閉店する「丸田商店」の店先には、地域住民が用意したメッセージ募集企画の立て看板が置かれている

2月中に閉店する「丸田商店」の店先には、地域住民が用意したメッセージ募集企画の立て看板が置かれている

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 中延・昭和通り商店会のシューマイ専門店「丸田商店」(品川区西中延2、TEL 03-3783-9096)が2月中に閉店することを明らかにした。閉店の知らせを受けて、地域住民有志は同店への感謝の気持ちを込めたメッセージ企画「ありがとう丸田商店」を進めている。

「丸田商店」店主の田代敏郎さん

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 同店は1969(昭和44)年、店主の田代敏郎さんが創業。2009(平成21)年には区民らの投票と審査を経て、品川区が推奨するマイスター店に選出された。看板メニューは、五目シューマイ、カニシューマイ、チーズ入りのシューマイを串に刺す「シューマイ3兄弟」。

 田代さんは1934年(昭和9年)生まれで、同商店会の会長を務める。閉店理由について、田代さんは「創業54年。まだまだ元気なつもりだが、一緒に店を続けてきた家族の体調も考えて、店を畳むと決めた。テレビの取材などには『(店を)100年やるよ』と話していたのでさびしいが、娘と息子からは『がんばってきたのだから、これからはゆっくりしたら』と言われている」と話す。閉店後は娘が住む栃木県に移るという。

 同店は延山小学校(西中延2)の体験授業を受け入れるなど、近隣の児童との交流があった。閉店を知った前PTA会長・飯作浩之さんと前相談役の上田薫さんが今回のメッセージ企画を発案し、現PTAに相談して進めているという。飯作さんは「地域から慕われる名店なのに、田代さんはひっそり閉店しようとしていたので、何かしたいと思った」と話す。

 中延エリアでメッセージカード付きのチラシを配布する。希望者はカードに丸田商店へのメッセージを書き込み、チラシから切り離して専用ポストに入れる。チラシとポストの設置場所は4カ所で、丸田商店、お茶と海苔の専門店「一元園」(西中延2)、ホットサンド専門店「maple(メイプル)」(中延3)、なかのぶスキップロード内の中延商店街新興組合事務局(東中延2)。延山小学校、荏原第五中学校(旗の台5)、荏原平塚学園(平塚3)にもポストを設置する。2月4日まで。

 2月5日開催の昭和通り商店会「夕市」では、メッセージ募集ブースを設置する。飯作さんは「急いで企画したので、どのくらい地元の方に周知され、メッセージが集まるか分からない。ぜひみなさんの気持ちを書いてもらえたら」と話す。集まったメッセージはノートにまとめて田代さんに渡す予定。

 現在、同店のひさしには「閉店のお知らせ」が掲示されている。店頭では、田代さんやスタッフにあいさつする来店客の様子が見られた。馬込から訪れたという客の一人は「20年前、友人の手土産がきっかけで自分でも買いに来るようになった。子どもは『シューマイ3兄弟』が好き。閉店を知ったのは今日で、いつかはと思っていたが驚いた。なくなるのはさびしい」と涙を浮かべていた。

 田代さんは「地域の子どもが大人になり、店に来て『変わらない味』と言ってくれるのがうれしかった。長い間、皆さんにお越しいただき、店をかわいがってもらえたことにありがとうと言いたい」と話す。「商品の在庫がなくなり次第閉店する。今度の夕市までは持つと思う」とも。

 メッセージ企画のポスト利用時間は、各店の営業時間に準じる。2月5日の夕市の開催時間は16時~18時。

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