しながわ水族館(品川区勝島3、TEL 03-3762-3433)で現在開かれている春の特別展「エモいぞ!! レトロ展」が、好評を集めている。
今回の特別展を担当した飼育員の杉本巧樹さんは、開催経緯について「最近若者たちの間で、昭和や平成が『レトロでエモい』と話題になっていると知り、企画にしてみようと思った」と話す。広報担当の藤井裕さん、飼育員の渡邉果南さんと共に、約半年前から構想を練ったという。
メイン会場は地下1階の「クマノミルーム」。入り口にはのれんを設け、「昭和の街並み」「昭和の部屋」「平成の部屋」の3コーナーに分けて、「ウーパールーパー」の通称で知られるメキシコサンショウオや、映画をきっかけに人気となったクラウン・アネモネフィッシュなど、かつて流行した生き物を展示する。「なぜ流行したのか、解説文を読むために足を止めてくれるお客さまがいつも以上に多い」と杉本さん。来場客の小学5年生は「シーモンキーが小さくてびっくりした」と笑顔を見せた。
水槽と共に、昭和・平成の日用品も展示する。会場内で通話ができる黒電話を体験した中学1年生は「こんなにいい音が鳴るなんて知らなかった」と驚きの表情を浮かべる。水族館職員が各自で持ち寄った懐かしのおもちゃには、大人たちからも「懐かしい」「これ持ってた」などの歓声が上がった。
「クラゲたちの世界」エリアには、SNS映えを意識したというフォトスポットを設置。クラゲの水槽を囲むようにステンドグラス風の装飾を施し、ライトアップする。イルカやアシカのショーでは、「学園天国」など、往年のヒット曲をBGMに使う。イルカショーに出演する渡邉さんは「お孫さんたちについてきたおじいちゃん、おばあちゃんがいつになく盛り上がっている。『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』が流れると、会場で一緒にダンスする観客の姿も見られる」と笑顔を見せる。
同館併設の「レストランドルフィン」では、期間限定メニューとして「レトロなナポリタン」(2,170円)を提供。4月29日から5月7日まで、各日数量限定で「東海道品川宿サイダー」(380円)を販売する。「ドルフィンカフェ」では、「昔なつかしい焼きそば雲パンサンド」(530円)や「にじいろクリームソーダ&チェリー」(680円)を販売する。
「1991(平成3)年に開館したしながわ水族館は、素のままでも平成レトロ。照明を落とし過ぎず、子どもの目線に合わせて水槽も低めに作られている。普段はファミリー層が多いが、この企画をきっかけに、中高生など若い世代の方たちにも来てもらえたらうれしい」と広報担当の藤井さん。渡邉さんは「昭和を生き抜いてきた上司から、若いアルバイトさんまで、職員みんなから過去の流行をリサーチして作り上げた。この世界観を楽しんでほしい」と呼びかける。
営業時間は10時~17時(レストランドルフィン、ドルフィンカフェは11時から)。期間中、4月11日、18日、25日は休館。入館料は、高校生以上=1,350円、小・中学生=600円、幼児=300円、3歳以下無料、65歳以上=1,200円。品川区在住・在勤・在学者は割引対象となる。5月7日まで。