企画展「龍(りゅう)の翔(かけ)る空き地」と、特別企画「唐様前夜:林羅山とそのコミュニティ」が1月10日、「慶応義塾ミュージアム・コモンズ(通称=KeMCo)」(港区三田2、TEL 03-5427-2021)で始まる。主催は同施設と、慶応義塾大学の附属研究所である斯道文庫。
刻字甲骨、商/紀元前14~11世紀(写真提供=慶応義塾ミュージアム・コモンズ)
KeMCo(ケムコ)は、同大学所有の文化財を収蔵、管理、展示する「場」。2021年の開設以降、年始は干支にまつわる企画展を行っている。3回目の今年はたつ年にちなみ、慶応義塾図書館や文学部民俗学考古学専攻、美学美術史学専攻などから竜に関する作品を集めた。
開催の意図について、専任講師の本間友さんは「これまで、大学の研究者が扱う作品や専門分野について発信する機会があまりなく、学内外から理解されづらい状況だった。そこで、干支の動物という極めてシンプルなテーマで学内から作品を集め、企画展として毎年開くことになった」と話す。
展示作品は、美術や考古学、東洋史や西洋史、日本文学など多岐にわたる。古代中国・商時代(紀元前14~11世紀)で竜のものとされた骨「刻字甲骨(こくじこうこつ)」や、竜の姿を描いた中世ヨーロッパの写本、日本製のファミコンゲーム「ドラゴンクエスト」のソフトなど。「一般的なミュージアムの企画展では紹介しづらい作品を展示できるのは、大学ならではの魅力」と本間さん。
同企画展の期間中、ケムコでは特別企画「唐様前夜:林羅山とそのコミュニティ」を開く。日本文化における竜は中国から伝来したとされることにちなんで、林羅山らの書道作品を展示する。
本間さんは「ケムコの来館者は、学生や研究者などの大学関係者だけでなく、地域の方も多い。普段は見られないような作品と出合うチャンスなので、ぜひ気軽に訪れてほしい」と来場を呼びかける。
開催時間は11時~18時。土曜、日曜休館。 1月22日、2月5日は臨時休館。入場無料。2月9日まで。