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三田の慶応義塾ミュージアム・コモンズで新春展 ウサギと泉鏡花に焦点

「閑暇のための動物奇態図譜」(写真提供=慶応義塾ミュージアム・コモンズ)

「閑暇のための動物奇態図譜」(写真提供=慶応義塾ミュージアム・コモンズ)

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 企画展「うさぎの潜む空き地 鏡花のお気に入りたち」が1月10日、慶応義塾ミュージアム・コモンズ(港区三田2、TEL 03-5427-2021)で始まる。主催は同施設と慶応義塾大学三田メディアセンター。

「かちかちやま」のちりめん本(写真提供=慶応義塾ミュージアム・コモンズ)

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 慶応義塾ミュージアム・コモンズ、通称KeMCo(ケムコ)は2021年にオープン。慶応義塾大学が所蔵する文化財の収蔵、管理、展示などを行う。

 同企画展開催の経緯について、専任講師の松谷芙美さんは「2022年の新春展『虎の棲む空き地』に続き、干支(えと)をテーマにした展示は2度目。本学で文化財をめぐる活動を行っている複数の部門から作品を集めて展示することで、大学コレクションの多様性を知ってもらうのが目的」と話す。

 慶応義塾図書館や文学部美学美術史学科専攻など、同大学の7部門からウサギに関する作品を集めた。「ピーターラビット」や「かちかちやま」など物語上のウサギや、月とウサギの連想といった芸術分野におけるウサギ、生物学的なウサギなど、幅広い作品を展示する。1700年代にドイツで出版されたマイアーの作品「閑暇のための動物奇態図譜」には角が生えたウサギが描かれており、「人間のウサギに対する固定観念を崩すような作品で興味深い」と松谷さん。

 特別企画として、向かい干支であるウサギの品を収集していたことで知られる泉鏡花のコレクションや、泉鏡花の交友グループで、メンバーに慶応義塾出身の文学者・水上瀧太郎などがいた「九九九会(くうくうくうかい)」にフォーカス。泉鏡花が集めていたウサギの置物や文房具、九九九会の日誌やメンバーの自筆原稿などを展示する。

 慶応義塾大学三田キャンパス旧図書館内の「カフェ八角塔」では、泉鏡花が愛読する草双紙(江戸時代に出版された小説本の一種)に葉を挟んでいた逸話にちなみ、葉をイメージしたビスケット(300円)を販売する。販売期間は1月10日~2月9日を予定。草双紙と葉は企画展で展示する。

 2月4日にはトークイベントを開催する。泉鏡花記念館(金沢市)学芸員の穴倉玉日さんと、慶応義塾大学文学部助教のピーター・バナードさんが登壇し、展示作品の解説や泉鏡花と三田文学、慶応義塾とのつながりについて話す。事前予約制。予約は1月10日からウェブサイトの予約フォームで受け付ける。

 「ウサギの表現やその幅広さを知ってもらい、ウサギという身近な動物について改めて考えるきっかけになれば」と松谷さん。特別企画については、「泉鏡花の個人的な趣味や付き合いの紹介なので、人としての泉鏡花の一面を知ってもらいたい」と話す。

 開館時間は11時~18時。土曜、日曜休館。 1月21日、2月4日は特別開館。1月16日、1月30日は臨時休館。入場無料。2月9日まで。

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