見る・遊ぶ 暮らす・働く

旧三田図書館跡に「みなとコモンズ」 誰もが立ち寄れる日常の新たな場所に

(左から)「みなとコモンズ」コモニング・ファシリテーターの田村かのこさん、渡辺瑞帆さん

(左から)「みなとコモンズ」コモニング・ファシリテーターの田村かのこさん、渡辺瑞帆さん

  • 2

  •  

三田に「みなとコモンズ」(港区芝5)がオープンして2カ月がたった。主催は港区。企画・運営は芸術公社(豊島区)。

「みなとコモンズ」が入る旧三田図書館外観

[広告]

 「誰もが利用可能なスペース」をコンセプトに掲げる同施設。札の辻スクエアに移転した旧三田図書館跡の地下1階と3階を拠点に活動する。広さは、地下1階=約41坪、3階=約113坪。港区民以外も無料で利用できるが、初回利用時にメンバー登録が必要。

 2027年に浜松町駅に開館予定の文化複合施設「港区立みなと芸術センター」プレ事業の一環として、同センターの周知や区民の文化芸術への理解促進を目的に、旧三田図書館が担ってきた人々の居場所としての役割を引き継ぐ。さらに、港区が目標として掲げる「共生社会の実現」に向けたさまざまな取り組みを行う。

 同施設のテーマは、さまざまな文化や価値観が波となって打ち寄せる「砂浜」。3階の「砂浜:海を見つける広場」は、窓ガラスに青いフィルムを張って外の景色を海に見立てた。窓の近くに設置した台座とカーペットは砂浜をイメージしたスペースで、靴を脱いで上がり、寝ころびながら過ごせる。フロア内は天井から曲線状に垂らした布で「なんとなく」仕切っているといい、座ると遠くまで見通せるが立つと目線が切れる高さに調整した。 

 3階は、作業や休憩、おしゃべりなどフリースペースとしての利用に加え、アーティストによるワークショップや利用者が発案したイベントなどの会場としての利用を見込む。利用者発案のイベントはこれまで、ハンドマッサージをしながらの悩み相談会や、子育てに関する情報交換会などを開催した。隔週で、今後の「みなとコモンズ」をどのようにしていきたいかを利用者自らが考える「コモン・ミーティング」も開催している。

 場づくりの企画・設計を担当するコモニング・ファシリテーターの田村かのこさんは「ただ場所があるだけでは、居心地のいい空間にはならないことがある。自分ができることを他の人と共有し、つながっていくことで文化が始まる。その実験を積み重ねていく場にしたい」と話す。

 深海をイメージした地下1階の「深海:呼吸をさがす部屋」では、アートユニット「キュンチョメ」の作品を展示する。リクライニングチェアを置き、寝ころんだり休憩したりしながら鑑賞できる。仮眠や考え事の際に使う人もいるという。

 同コモニング・ファシリテーターの渡辺瑞帆さんは「『みなとコモンズ』では、お互いを思い合っていれば、基本的に何をしてもいい。楽器を弾いている人や食事をしている人、駆けまわっている子どもたちもいる。一人ひとりがそれぞれの過ごし方で、何となく同じ場にいることが重要」と話す。「ここは地元の人に親しまれてきた元図書館なので、アートは一部の人のためのものではなく、誰の生活にとっても身近なものだと実感できる場にしたい」とも。

 同スペースの運営は来年3月まで。開館時間は11時~17時。月曜・火曜・水曜定休。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース