白金台交差点そばのビル3階にある書道教室(港区白金台3、TEL 03-3441-6896)を使った「アートスタジオ213」で8月6日から「JAL 123便 御巣鷹山墜落事故『4/524』小平尚典写真展」が始まった。
小平さんは、1985(昭和60)年8月12日に発生した日航機墜落事故で、報道カメラマンとして最初に事故現場にたどり着いた写真家。事故は、日本航空123便が群馬県の御巣鷹山に墜落し、乗員・乗客524人のうち、生存者は4人だった。単独の飛行機事故では世界最多の死者を出した大惨事として、今もなお多くの人の記憶に刻まれている。
当時、新潮社(新宿区)の写真週刊誌「FOCUS」のカメラマンだった小平さんは、都内で事故の知らせを聞き「群馬方面らしい」という情報だけを頼りに車を飛ばした。現場へ向かう自衛隊員の後を追いかけたものの、途中ではぐれてしまい、山林をかきわけて現場に到着したという。小平さんは「事故現場を目の前にただぼうぜんとしていたが、無力なカメラマンとしてできることは記録として写真を撮影することだけだった」と振り返る。
その際に撮影した240カットのうち51カットを選び、1991年に写真集「4/524」を出版。今回、同写真集より選んだ11点を展示する。写真展は初。会期中、小平さんは会場に常駐し来場客とのコミュニケーションを図る。
展示会場である「アートスタジオ213」は、書道家・田中葉奈さんが書道教室を使って運営。小平さんが、田中さんの同教室開業時のアドバイザーだった縁で今回の写真展が実現した。
事故発生から24年目。小平さんは「当時、報道カメラマンとして事故現場をどうとらえていいのか複雑な気持ちだった。年月が過ぎて冷静に見られるようになり、やはりただのニュースとして扱われてはいけないとの思いで当展を企画した。事故はいつ自分の身に降りかかってくるかわからない。生きていること自体が素晴らしいということも伝えることができれば」と話す。
展示時間は15時~20時。入場無料。今月12日まで。