学ぶ・知る

五反田の「ゲンロンカフェ」が10周年 連続教養講座を開講、会員限定イベントも

ゲンロン創業者の東浩紀さん

ゲンロン創業者の東浩紀さん

  • 16

  •  

 西五反田にあるイベントスペース「ゲンロンカフェ」(品川区西五反田1)が2月1日、設立10周年を迎えた。運営はゲンロン(西五反田2)。

[広告]

 批評家・作家の東浩紀さんが2010(平成22)年に創業した同社の事業の一環として、2013(平成25)年2月にオープンした同スペース。主に哲学・社会問題・ジャーナリズムなどをテーマとしたトークイベントを月6~10回開催し、登壇者は10年間で1000人以上を数える。店舗面積は約40坪。

 同スペース開設の経緯について東さんは「学生の頃からトークイベントに通っていたこともあり、トークスペースにはなじみがあった。ただ、書店などで開催されるトークイベントは時間も短く、登壇者とお客さんが触れ合うことも少ない。せっかく集まるなら、お客さんと登壇者がコミュニケーションを取れる場所を作りたいと考えた」と話す。「各地で開催されるトークイベントはサブカルチャーが大多数だったので、社会派で硬めな話題を扱える場所にもしたかった」とも。

 コンセプトは「長く話す」こと。好きなだけ自由にたくさん話したい登壇者や、長くなってもそれを聞きたい客が多いことを受け、イベントの終了時間は設けない。東さんは「9、10時間ほどイベントが続いたこともある。終電を逃すこともしばしばだった」と振り返る。

 10周年の記念ロゴは、同スペースで6年にわたって開講されたプログラム「新芸術校」の1期生でアーティストの弓指寛治さんがデザインした。「鳥が持つ輪っかに『人の思いをつなぐ』というメッセージを感じ取り、記念ロゴにぴったりだと思った」と東さん。

 10周年記念事業として、連続教養講座「ゲンロン・セミナー」を開講している。2月11日から始まった第1期では「1000分で『遊び』学」と題し、約半年間をかけて哲学や霊長類学、演劇学、歴史学、ゲームAI研究など、各分野の専門家が講義する。次回は3月26日で、京都大学高等研究院の野生動物研究センターで准教授を務める山本真也さんが登壇する。2回目以降の通し券(一般=1万3,000円、学生=1万2,000円)や1日券(一般=3,500円、学生=3,000円)ほか、配信付きチケットも販売する。関連企画として、若手研究者にスポットを当てる「学問のミライ」も始める予定。

 3月18日には、同スペースの支援者組織「ゲンロン友の会」の会員限定で10周年記念イベントを開催する。場所は同スペースと東京五反田TOCビル(西五反田7)。社会学者の古市憲寿さんや、「世界は五反田から始まった」(ゲンロン叢書)著者の星野博美さんなどが登壇する。そのほか、10年間の軌跡をまとめた年表を展示し、会員の出店ブースを設ける。

 「文化的なスペースはあまり持続しないケースが多く、正直この場所も厳しいのではないかと思っていた。ただ、10年続いたからには、これからも持続させていく義務があると考えている。次は20周年を目標に運営していく」と東さん。「五反田は文化的な場というよりも、生活の場であるイメージが強い。これからも生活者に文化的なものを届けていきたいので、気軽に足を運んでみてほしい」とほほ笑む。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース