
高須賀活良(かつら)さんの作品展「草木の恵みと布のものがたり」が2月26日、品川区立環境学習交流施設「エコルとごし」(品川区豊町2)で始まった。
布と人の関係性をテーマにアート活動を行う高須賀さん(高ははしごだか)は、「モノづくりの始まりは土から」をコンセプトに、石器時代から作られてきた原始布を研究。日本各地の素材にインスピレーションを受けながら作品を制作してきた。今回の展示では、土から始まって人の手で形作られ再び自然に戻る、布の循環を紹介する。
開催のきっかけについて、エコルとごし事業担当者の町田さんは「どんな展示なら環境について楽しく学習できるか考えた結果、私たちの生活に欠かせない衣服と布に焦点を当てることにした。高須賀さんの活動を以前から知っていて、今回の企画とマッチするのではと考え、声をかけた」と話す。
1階エントランスには、自然の素材が布へと生まれ変わる過程を表現した「Yuu~預かり、生まれる布」を展示する。「Yuu(ゆう)」は漢字で木綿(ゆう)と書き、和紙などの原料になる植物・コウゾで作られた原始布の総称。同作では徳島県阿波市産のコウゾを使う。
コミュニティラウンジには、草木染作品の「Rebirth(リバース)」と、不要になった服やカーテンを糸に戻して織った布に土から作った顔料でペイントした「NEGENTROPY(ネゲントロピー)」を展示する。このほか、草木染の染色に使った植物と染めた素材や織り機なども。子どもたちが楽しみながら学べるように、作品をじっくり見ると答えが見つかるクイズカードを配布する。
小さい頃から環境問題に強い関心を持っていたという事業担当者の山下さんは「過去の展示では、来場者から『環境は難しい印象があったが、アート作品を通して考えるチャンスを与えてくれてありがとう』という温かい言葉をかけてもらった。今回の展示も、皆さんがじっくり見てくれている」と話す。
広報担当者の丹羽さんは「環境問題と聞くとスケールの大きなテーマに感じるかもしれないが、本当に小さな行動の積み重ねで地球環境が良くなることを実感してもらえれば。環境問題への興味関心を持ってもらえるような企画を、これからも打ち出していきたい」と意気込む。
開館時間は7時~21時30分(映像展示・常設展示は9時~18時)。観覧無料。3月23日まで。