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30年後の未来はどうなる? 温暖化を学ぶ「海の親子寄席プロジェクト」

提供:海と日本PROJECT|取材・文:ゆきどっぐ|撮影:塩川雄也|編集:有限会社ノオト

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海の問題を「自分ごと」としてとらえ、未来について考える「海の親子寄席プロジェクト」が11月25日、品川区立日野学園で開催されました。

20校以上の学校から実施希望が来ている同イベント。落語やスライドトークを通して、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)のひとつ「海の豊かさを守ろう」について考えます。

同学園の小学3年生89人は、品川区独自の新しい学習「市民科」の授業として参加しました。ゲストは、落語家の三遊亭天歌さんと人気YouTuberのMasuoさん。お二人のステージによって、海と未来をじっくり知る1時間となりました。

落語「海のすごろく」で気が付く 自分たちの生活が海を汚す可能性

海は、次の世代へと受け継ぐべき大切な資源。今回の講演で披露された落語も、次世代に技術を伝えていくべき伝統文化という意味では共通点があるかもしれません。

会場には赤い布が巻かれた高座を設置し、寄席が準備されていました。生まれて初めて落語に触れる児童も多い中、落語家・三遊亭天歌さんによる創作落語「海のすごろく」が始まります。

「登場人物は顔の向きで演じ分ける」と説明する三遊亭天歌さん

舞台は、夏休みが終わったばかりの小学校。登場人物は、児童と同じくらいの年齢です。落語は「地球温暖化を無理やり体験させるすごろく」を自由研究として作った場面からスタートしましたーー。

ワクワクした様子で耳を傾ける児童

開始直後から、児童たちはすぐ落語に引き込まれ、クスクス笑いが広がっていきました。

「自由研究のすごろくを作るのに1カ月以上もかかったんだ」という落語の登場人物の言葉には、「時間、かけすぎ」と笑い、「砂浜に落ちていた段ボールで、すごろくの土台を作ったんだ」と言えば、「えー」と驚きの声があがります。

すごろくのマスを進める様を演じる

すごろくのルールは簡単です。地球環境に良いことをすればコマが進み、悪いことをしたら戻る。

とはいえ、地球温暖化を無理やり体験するすごろく。「鼻を噛んだティッシュを燃やしたら、二酸化炭素が出たのでふりだしに戻る」なんてコマがあり、なかなか前に進めません。

天歌さんの一挙一動を見ようと背を伸ばす

ところが、水をつけて汚れを落とすメラニンスポンジでお風呂掃除をすると、どんどんとマスを進めるようになります。

「メラニンスポンジからマイクロプラスチックのゴミが出る」「マイクロプラスチックは有害物質を吸着しやすい」「そのゴミが排水溝から下水に流れる」「雨が降っていて下水処理が間に合わず、ゴミが海に流れる」――。マスに書かれた事象は良いことではなさそうなのに、あれよあれよと進みます。児童からは、「嫌な予感がする」とざわつきが……。

「落語、面白かったね」と拍手をしながらアイコンタクト

最後には、一体どんな結末になってしまうのか。次々と溢れる天歌さんの落語に、児童たちは一喜一憂。終わると、盛大な拍手が起こりました。オチを聞いた児童たちは、きっと家に帰ってさっそく家族に話したに違いありません。

「海の温暖化」で威力の強い台風がやってくる!?

続いては、気象予報士で同プロジェクト実行委員長の井手迫義和先生によるスライドトーク。ゲストとして、登録者数117万人の人気YouTube番組「Masuo TV」を運営するYouTuberのMasuoさんも登壇しました。

「Masuoでぇす」という自己紹介に、児童の顔がほころびます

スライドトークのテーマは「海の温暖化」。現在、すでに海水の温度は高くなっていて、パエリアなどに使われるムール貝が水中で茹で上がり、死んでしまうこともあるそうです。

それだけではありません。小学3年生の児童たちがおじいさんやおばあさんになる頃、地球温暖化がぐんと進み、地球の平均気温は6度も上がってしまうというのです。

世界地図は未来の温度上昇を示して真っ赤に!

地球温暖化が進むと、私たちの生活にはどんな変化が起こるのでしょう。

まず、温暖化で威力を増すのは台風です。台風の威力は過去30年間で約2倍になると言われ、さらに70年後の日本には、台風が上陸しやすい条件が重なってくるという……。

そんな未来の台風の威力を、防災体験施設で経験してきたMasuoさん。強烈な雨風を浴びる動画に、児童の目はくぎ付けになりました。

「前が見えない! 誰か助けて」と台風を体験した心境をアテレコするMasuoさん

地球温暖化の影響が現れるのは、台風だけではありません。身近な食卓にも変化が生じます。

それが、食卓に上る魚たち。例えば今年、秋に旬を迎えるサンマが不漁によって高騰したニュースが流れました。実は、サンマは温暖化が進むと南下が遅くなって漁獲時期が変わり、冬の食べ物になると言われているのです。

30年後に食べられるお寿司のネタは3貫だけ?

サンマ以外の魚にも影響があるのでしょうか。お寿司のネタ12貫を例に、30年後も食べられる魚はどれか、Masuoさんと一緒に考えました。

「30年後、お寿司のタマゴは食べられると思う?」という問いかけに、勢いよく手があがります

なんと、30年後の未来で食べられるお寿司は12貫のうち、タイ・ウニ・タマゴの3貫だけ。マグロやイクラ、エビなどほとんどのネタが食べられなくなるという結果に、児童からは、「えー!」という悲鳴が起こりました。

ホッキョクグマが主人公の6コマ漫画にアテレコする児童たち

最後は、北極で起きている問題について学びました。ホッキョクグマは今、住処である北極の氷が溶けてしまい、氷と氷の間を泳いで移動しながら生活しています。

このままだと、ホッキョクグマはどうなるのでしょう。井手迫先生が用意してくれた6コマ漫画を使って、Masuoさんと一緒にアテレコしながらホッキョクグマの気持ちを考えます。

未来を変える案がたくさん上がります

今の状況が続くと、95%の確率でこのような未来が待っているという地球。「でも、残りの5%は、未来を変える可能性があります。これから私たちはどうすればいいと思う?」と井手迫先生が児童たちに呼びかけます。

「排気ガスをなくせばいい」
「保冷剤をたくさん作って地球を冷やす」
「ほかの星に移住する」

児童からは、ユニークな提案の声がたくさん上がりました。

さぁ、授業はおしまいです。ここからは日野学園の児童たちが自分たちの未来、そして次の世代に向けて考えていく番なのです。

楽しく気軽に、自分ごととして捉えるプロジェクト

三遊亭天歌さん(左)とMasuoさん

幼稚園から高齢者までの幅広い年齢層を対象に、わかりやすい授業を展開する同プロジェクト。イベント終了後、演者として登壇した三遊亭天歌さんは、出身地である宮崎県の幸島で感じた海のエピソードを教えてくれました。

「台風の後に幸島に行ったらプラスチックゴミの漂着物が多くて、海の問題を肌で感じました。落語『海のすごろく』は、私が今日と同じ授業を受けたときの『自分も知らないうちに海を汚している』という驚きから作ったもの。海の問題を気に掛けるきっかけになってほしいですね」

動画の撮影で、海に行く機会の多いMasuoさんは、「身の回りで起こっていることを、落語やトークなどを通して楽しみながら学べるいい機会だったのではないでしょうか。問題を身近に感じながら、考える機会を気軽に持つことは大切ですね」と話してくれました。

今回のプロジェクトによって、子どもたちの心に少しずつ変化が生じたようです。

参加した鶴田莉咲さんは、「お寿司のネタが30年後にはほとんどなくなっちゃうなんて、びっくりした」と感想を教えてくれました。森蒼生(あおい)さんは、「プラスチックゴミを分別したり、リサイクルしたりして、下水処理場の人に迷惑がかからないようにしたい」と、これからの行動に目を向けます。

児童たちは、「ほかにもいろんな解決方法を探してみてね」という井手迫先生の言葉に、目を輝かせてうなずいていました。海の魅力を知る機会はこれからもたくさんあるでしょう。ふとした時に、プロジェクトでの教えを思い出すことで、未来につながる行動が生まれますように。

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