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品川区内の学校で「鉛筆のリサイクル」 三菱鉛筆の新商品、SDGs身近に

回収した鉛筆を郵便局員に渡す伊藤学園の生徒会(写真提供=三菱鉛筆)

回収した鉛筆を郵便局員に渡す伊藤学園の生徒会(写真提供=三菱鉛筆)

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 三菱鉛筆(品川区東大井5)が開発した再生利用しやすい鉛筆を使う実証実験が、品川区内の小学校・義務教育学校の11校と品川郵便局(東大井5)で始まった。

「フォレストサポーター鉛筆」を開発した三菱鉛筆の岡田都美子さん(写真提供=三菱鉛筆)

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 実証実験は、品川区教育委員会(品川区広町2)と日本郵便東京支社(港区)、サカタのタネ(神奈川県)が協業。「鉛筆の資源循環システム」の実証を目的に、使い終わった鉛筆を回収し、棒状肥料やバイオマス発電の燃料として再利用に取り組む。

 実験のきっかけは、三菱鉛筆による「フォレストサポーター鉛筆」の開発。同商品は自然由来の接着剤を使い棒状肥料への再生利用がしやすいという。同社が6月、廃棄されてきた使用済み鉛筆の有効利用を図りたいと品川区に申し出たことから実現した。実証実験に参加する11校に同商品2万6930本を無料配布。児童1人当たり5本を配った。

 同社商品開発部の岡田都美子さんは「従来の鉛筆は一般的にアメリカ産の材木などを使ったが、同商品は国産のヒノキ材を使う。国の資源を大切にして継続維持可能な未来を描く手助けをしたい」と意気込む。「以前から鉛筆の回収希望は複数あり、鉛筆を100年以上作り続ける会社の責任として、何かできないかと考えた。リサイクルには鉛筆の塗料やフィルムが障壁で、肥料に再生するにも成分が厳しく定められていることから、単一素材にする必要があった」とも。開発には構想から約2年かかったという。

 回収する鉛筆は、従来の鉛筆と使い終わった同商品を分別して集める。従来の鉛筆は、消しゴムや金属、プラスチックの飾りがないことが条件。回収では、実証実験に参加する学校と品川郵便局に回収箱「PENCIL POST(ペンシルポスト)」を設置する。ポストがいっぱいになると郵便局員が回収する仕組み。従来の鉛筆はバイオマス発電に使い、「フォレストサポーター鉛筆」は三菱鉛筆の工場で木粉化しサカタのタネが研究に協力した棒状肥料に再生する。再生した棒状肥料は、回収箱を設置した学校に無償で配布。第1弾の配布は来春を予定する。

 実証実験に参加した伊藤学園(大井5)では、5年生から9年生が運営する生徒会が主体となり、生徒会新聞を全生徒に配って鉛筆の資源循環システムを解説。校内に周知したという。12月3日には、従来の鉛筆約1キロ800グラムと同商品約80グラムを郵便局員に回収してもらった。

 伊藤学園の蜂屋隆子校長は「自分の使った鉛筆をリサイクルする体験がSDGsをより身近に考えてもらうきっかけになれば」と話す。

 今後について、岡田さんは「実証実験では、子どもがどれだけ活動を理解しているかも検証したい。持続を可能にしていくためには、リサイクルの認知拡大や鉛筆の回収方法を考える必要がある。実験による品川モデル確立後は、全国に拡大させていきたい」と話す。

 実証実験は1年間をめどに続ける。一般には、品川郵便局でのみ販売する。1ダース=1,440円(税別)。芯の硬度は2B。

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