大崎駅前のO美術館(品川区大崎1、TEL 03-3495-4040)で10月16日、作品展「みつめよう 今 わがまち ~しながわ百景原画展~」が始まった。主催は公益財団法人品川文化振興事業団。
「しながわ百景」は1987(昭和62)年、区民の推薦・投票によって「わがまちしながわ」の生活や歴史、風土を伝える風景を選出したもの。その後、街並みの変化を経て2017(平成27)年の区制70周年を機に、区民投票と選考委員会によって「新・しながわ百景」が制定された。
新・しながわ百景の総数は112景で、「品川神社」や「かむろ坂」、「戸越銀座商店街のにぎわい」など、現存する風景は101景を数える。新たに追加されたのは、「目黒川の桜」「しながわ水族館」など12景。姿を消した11景は永久欠番となっている。
今回の作品展では、80~90年代に百景を題材に描かれた絵画作品群に加え、新・しながわ百景を題材にした新作を展示する。新・しながわ百景は、新たに品川ゆかりのアーティスト13人が参加した。入場無料。
O美術館副館長の井高由美子さんは「年に一度の企画展を今年も開催できるか、今回の展示はギリギリまで検討した上で決まったもの。コロナ禍でアート活動の場が限られてしまった現状を受け、新作を依頼したアーティストには制作費を援助した」と話す。
展示構成は作品の舞台によって、大崎地区、品川地区、大井地区、荏原地区、八潮地区の5エリアに分けるほか、「失われた百景・整理された百景」と「新・しながわ百景」をそれぞれ集めたエリアを設ける。品川の海苔養殖の文化を再発見する「品川海苔復活プロジェクト」の関連作品として、「品川海苔(のり)」を使った切り絵の展示も。
企画展の反響について、井高さんは「来場者アンケートに予想以上の熱意ある声が集まっている。遠出がなかなかできない分、近所に目を向ける人が多いのかもしれない。今は見られない景色を興味深く眺める人も」と話す。「『幼い娘の美術館デビューの場になった』という声もあり、うれしい限り。ぜひ作品を通して地元を再発見してもらえたら」と来館を呼び掛ける。
開催時間は11時~18時30分。木曜定休。11月18日まで。新型コロナウイルス感染症感染対策として、入場時はマスク着用や検温、連絡先の記入が必要。