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北品川・「きたなシュラン」認定の江戸前天ぷら店「三浦屋」、50年の歴史に幕

人気メニュー「極上丼」(1,300円)。アナゴ、キス、メゴチ、エビ、シシトウの天ぷらが乗る

人気メニュー「極上丼」(1,300円)。アナゴ、キス、メゴチ、エビ、シシトウの天ぷらが乗る

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 北品川本通り商店街の「船宿天ぷら 三浦屋」(品川区北品川1、TEL 03-3471-4811)が6月7日、閉店する。

店内の壁には著名人の色紙が一面に飾られる

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 50年以上の歴史を持つ江戸前天ぷらの同店。店舗面積は約7坪。席数は14席。2010年にテレビ番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ)のコーナー内で「きたなシュラン」に認定されるなど、品川宿を代表する名店としてメディアにもたびたび取り上げられている。

 店主の堀江雅子さんは、35年間店を守ってきた2代目店主の夫を2年前に亡くして以来、娘夫婦の法子さん・悠紀さんの家族3人で店を切り盛りしてきた。平日は近隣のビジネスパーソンのランチ利用が多く、休日は地方からの来店客も多いという。

 閉店の理由について、雅子さんは「材料費の高騰が最大の理由。昨年4月の消費税増税で100円値上げしたが、主力の『極上丼』は1989年から価格を維持してきた。大田市場から仕入れる江戸前の魚にこだわってきたので、店の味を守るためには価格を見直さなければならないが、これ以上の値上げはお客さまも来店しづらくなると判断した」と話す。「建て替えにともなう設備投資が難しいのも理由の一つ。大家さんは最大限協力すると申し出てくれたが、娘たちの将来を考えて店をたたむ決心をした」とも。

 江戸前天ぷらは通常、揚げ油にごま油を混ぜるが、同店は白絞油(しらしめゆ)100パーセントで後味が軽いのが特長。ランチは、一番人気の「極上丼」(1,300円)や「さかな丼」「かきあげ丼」「穴子丼」(以上1,200円)、「五色丼」(1,100円)などを用意する。全ての天丼メニューにみそ汁と漬物が付く。天丼のたれは40年以上継ぎ足し、漬物はご主人の母の代から90年以上受け継いできたぬか床で漬けているという。

 ディナーは、天丼類のほか、天つゆとごはん、みそ汁と漬物が付く「極上定食」(1,500円)「松定食」(1,300円)、「かきあげ定食」(1,400円)をはじめ、単品の天ぷら(100円~)や「あさりの煮付け」(400円)などの一品料理も提供する。

 アルコールは、「ビール(中瓶)」(500円)、「品川縣(けん)ビール(小瓶)」(650円)、「日本酒」(1合400円)、「浦霞」(同600円)、「ウーロンハイ」「緑茶割」(以上430円)など。客単価はランチ=1,000円、ディナー=2,000円。

 「主人が長年守ってきた店にのれんを下ろすのはとても残念」と言葉を詰まらせる雅子さんは「ランチも価格が安くないのに、やりくりして通ってくれたお客さまにとても感謝している。閉店の告知をしてから『いつか行こうと思っていた』と声を掛けてくれる方もいて、来店客が増えた」と話す。「6月7日の『しながわ天王祭』には、常連のお客さまたちがたくさん来ると思う。ぜひ直接皆さまに最後のごあいさつができれば」とも。

 営業時間は11時15分~13時30分(ラストオーダー)、17時~21時(ラストオーダー)。火曜定休。最終日はなくなり次第終了。

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