AIと一緒に仕事を進め、予定より早く形になった。改善を重ね、使う人にも喜ばれた。それなのに、ふと「この先も、もっと速く、もっと多くを続けるのだろうか」と立ち止まる。仕事がうまくいった後にも、残る問いがあります。
そうした場面を職場で話し合うための対話資料『AIで生まれた時間を、答えの出ない問いに使えるか』を無料公開します。A4横8ページに、一つの仕事場面をたどるイラスト・図解と、実際の仕事を持ち寄って話すための記入欄を収録しました。
取り上げるのは、成果がまだ説明できない対話や試行に、組織がどう向き合うかという課題です。
何の役に立つかが分かってから時間を認める。その条件では、何を問うべきかを探す時間は、いつ始められるのでしょうか。

対話資料の表紙。仕事が進んだ後にも残る問いと、時間の使い方を扱います。
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例えば、あるチームがAIを使い、新しいサービスの案内と申込フォームを整えたとします。以下は、資料の問いを具体化するための例です。
案内を読んだ顧客は「分かりやすいですね」と言いました。ところが、申し込みは進みません。担当者は説明を足そうとしますが、顧客に使う場面を見せてもらうと、別の迷いが見えてきました。「内容は分かります。でも、自分の仕事に必要なのか、今のやり方を変えてまで使うのかが決められません」。
説明の読みやすさと、自分に必要かを判断できることは、同じではありません。チームは「案内を完成させる」という仕事を終えていましたが、顧客が進めようとしている仕事を、まだ十分に捉えていませんでした。

説明の分かりやすさと、自分に必要かを判断できることを分けて考える架空例。
顧客の迷いを詳しく聞く前、チームは申込欄を減らし、説明を短くしていました。それでも、申し込みは進みませんでした。「どうすれば申し込みやすくなるか」という問いの中には、申し込む方向へ進めることが、すでに前提として入っていたからです。
そこで担当者が、申し込みの前に小さく試せる場を提案します。実際の仕事に当てはめ、使う理由と使わない理由を確かめてもらうためです。上司は、もっと説得力のある案内が出てくると思っていました。「自分で考えて」と任せながら、自分と同じ方向の答えを期待していたことに気づきます。
顧客の反応を見直す過程で、商品をどう改善するかだけでなく、何を支援する仕事なのか、何をもって部下が考えたと認めるのかも、問い直されます。新しい案を採用するかは、顧客の判断に役立つか、運用できるかを試して決めます。意外な案であること自体が、価値の証明にはなりません。
試せる場をつくった結果、顧客は自分に必要かを判断しやすくなり、担当者も手応えを得たとします。ここまでなら、改善の成功として話を終えられます。
けれど、仕事を終えた担当者には「これをもっと速く、もっと多く続けて、その先は何なのだろう」という問いが残りました。今回の仕事が役に立ったことと、その先が見えないことが、同時にあります。
この問いに、すぐ「次の目標を決めよう」と返すと、本人が立ち止まっている理由を聞かないまま、仕事を再開できてしまいます。かといって、壮大な生きがいの話に整えれば、納得できるとも限りません。まだうまく言葉にならないものを、一緒に確かめる時間が必要な場合があります。
顧客の迷いには、試すことで確かめられることがありました。一方、担当者の「この先は何なのか」も、次の案や目標によって確かめられる問いなのかは、まだ分かりません。
AIで作業時間を減らせたとき、空いた時間を次の仕事に使うことはできます。休息や、これまで手が回らなかった仕事に充てる選択もあります。その中に、まだ答えの出ない話や、小さな試行を置く余地はあるでしょうか。
話すうちに、当初は失敗に見えたことが、仕事の前提を見直す手がかりになることがあります。一方で、話し続けても、次に進む手がかりが見つからないこともあります。非効率な時間が、そのまま価値になるわけではありません。
難しいのは、価値があると説明できる前に、その時間を使うか判断しなければならないことです。商品開発では何をつくるか、人材育成では何を学ぶ必要があるか、働く人にとっては何を大切にするか。対話を始めた時点では、問いの方がまだ定まっていないこともあります。
本資料は、こうした時間を一律に増やすことを勧めるものではありません。すぐ成果を示せる仕事だけで時間を埋めているとしたら、何が話されなくなるのか。その点を、実際の仕事から確かめるための提案です。
「完成したのに相手が進めなかった」「うまくいったのに、何かが残った」。まず、そのような仕事を一件選び、実際の成果物、相手の言葉、自分が引っかかった箇所を持ち寄ります。立派な振り返り資料に整える前に、同じものを見ながら話します。
- 何を終えたつもりだったか。相手は何を進めようとしていたか
- 話してみて、見方が変わった所と、変わらず残ったことは何か。まだ言葉にならないものはあるか
- もう少し確かめるなら、何を誰と見るか。どこで一度区切るか
続ける、確かめ方を変える、いったん置く。次に使える時間や、他の仕事への影響も含めて決めます。次の行動にできない問いまで、無理に行動へ変える必要はありません。いったん置く場合も、残った問いを短く残しておけば、別の経験に出会ったときに戻れます。
AIには、出てきた言葉や異なる見方の整理、試せる案の作成を手伝ってもらえます。ただし、もっともらしい要約を読んで、問いが解けたことにしていないかは確かめます。資料には、この話し合いを始めるための記入欄を収録しました。
DorstとCross(2001)は、デザイン課題に取り組む過程を分析し、問題の捉え方と解決案が関わり合いながら変化する過程を論じています。本資料では、作り方を考える中で、何を問題とするかも変わるという接点から参照しています。
March(1991)は、既存の知識を活用することと、新しい可能性を探索することへの資源配分を、組織学習のモデルで検討しています。すぐに結果を見通せる活動と、結果が不確かな活動に時間をどう配分するかを考える手がかりです。
いずれも、生成AIで生まれた時間の使い方や、本資料の対話の手順そのものの効果を実証した研究ではありません。本資料は、例と関連研究を手がかりに、職場で検討する問いを提案するものです。
Dorst, K. & Cross, N. (2001). Creativity in the design process: co-evolution of problem-solution.
March, J. G. (1991). Exploration and Exploitation in Organizational Learning.
- 資料名:AIで生まれた時間を、答えの出ない問いに使えるか
- 形式:PDF/A4横/全8ページ/無料
- 対象:AIと仕事を進める担当者、管理職、商品・事業開発、人材育成に携わる方
- 内容:顧客の迷いと仕事・育成の前提をたどる架空例(2〜3ページ)、改善後にも残る問いと時間の使い方(4〜5ページ)、対話の進め方と記入欄(6〜7ページ)、研究との接点(8ページ)
対話資料PDFを読む(A4横・全8ページ/無料)
一つ見えたことで、別の分からなさが出てくる。そこまで含めて、人とAIが働き続ける関係を考えます。

リクエスト株式会社の研究基盤。980社・33.8万人は会社の研究基盤を示し、今回の対話資料の効果検証規模を示すものではありません。
研究と実践で得た知を、仕事を見直すための公開資料として届けています。
リクエスト株式会社は、「成果につながる方法を、本人が使える仕事へ。」を軸に、組織行動科学(R)の研究・教育開発と実践支援に取り組んでいます。現場から学んだ知を閉じず、使う人が自ら考え、確かめ直せる形でひらいていきます。
働く人が自分の仕事を少しでもより善くし、その先にいる人の仕事もより善くなる。その積み重ねを、取引先やお客様、社会、組織の善さへつなげていくことが、公開資料を届ける目的です。

リクエスト株式会社の研究・教育開発を支える8つの研究機関。
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各名称は当社独自の概念体系です。判断デザイン(R)はリクエスト株式会社の登録商標です(登録第7092767号、2026年10月15日登録)。最新の情報は公式サイトに掲載しています。
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